森咲智美 2018年11月22日号

友成那智 メジャーリーグ侍「007」 今季不調の原因を徹底検証「青木宣親」

掲載日時 2016年07月05日 16時00分 [スポーツ] / 掲載号 2016年7月14日号

 青木宣親は出塁率の高さを買われて、今季マリナーズのトップバッターに迎えられた。しかし、序盤から打率が低迷。6月中旬になっても打率が2割5分を超えないためトップバッターを外され、8番ないし9番打者で起用されることが多くなった。

 不調の要因は三つある。
 一つは、速球系の投球に差し込まれて、逆方向(ショート、サード方向)への緩いゴロや内野フライに倒れるケースが多くなったことだ。そのため昨年は速球系の投球(ストレート、ツーシーム)を3割2分6厘という高率で打っていたのに、今季は2割7分2厘に低下。それが打率低迷の最大の要因になっている。
 不調のもう一つの要因は、左投手を苦にするようになったことだ。メジャー入りしてから昨季までの4年間、青木は対右投手打率が2割7分2厘であるのに対し、対左投手打率は3割2分1厘で、「メジャーでもっとも左投手に強い左打者」と見なされてきた。ところが今季は、左投手に対して体が速く開くため、緩急をつけて攻められると対応できないことが多くなり、右投手には2割7分9厘と比較的いい数字をマークしているのに、左投手には1割7分7厘という結果しか残せていない。それにより、最近は相手の先発が左投手の場合、スタメン落ちすることが多くなった。
 不調の3番目の要因は、足のスピードがやや落ちていることだ。その結果、以前のように内野安打をハイペースで稼げなくなっている。盗塁成功率も昨年の71%から36%に激減。トップバッターから外される一つの要因になった。

 青木は6月22日現在、打率2割4分7厘で貢献ポイントであるWARはマイナス0.2(FANGRAPHSの数字)である。これは青木がチームにプラスの貢献ができず、80万ドル分チームの足を引っ張ったことを意味する。7月に入っても、このレベルの成績が続くようだと、青木はシーズン中にトレードされる可能性が高くなる。
 マリナーズは今季序盤好調で、5月末時点では、30勝21敗でア・リーグ西地区の首位だった。しかし6月に入って失点が多くなり、4連敗が3度もあったため優勝争いから脱落。このままいくと7月には勝率5割を大きく割り込んで「再建モード」に入ると思われるからだ。

 「再建モード」に入ったチームが真っ先にやるのが、7月末のトレード期限に行う大掛かりなトレードだ。このトレードでは再建モードに入ったチームが優勝を争うチームに即戦力になる高年俸のベテランを放出、マイナーの有望株との交換が次々に行われる。任天堂から経営を引き継いだマリナーズの新首脳陣は再建に意欲的で、ディポートGMは7月末のトレードを積極的に行う方針を固めている。
 その場合、球団が真っ先に放出したいのは青木だ。なぜなら球団は青木と「今季480打席を超えた場合、本人が希望すれば、来季は年俸600万ドルでマリナーズに残留できる」という取り決め(オプション契約)を交わしている。もし、青木をそのまま球団に置いておくと、8月上旬ないし中旬に480打席に達するので、球団は来季も青木と年俸600万ドルで契約しないといけなくなる。再建モードに入るということは若手中心のチームに作り替えるということなので、球団は来季35歳の青木を置いておくようなことは何が何でも避けたいのだ。

 青木獲得に興味を示す球団があれば、マリナーズは300万〜500万ドルのキャッシュを付けて放出することになるだろう。「今季480打席を超えたら来季は年俸600万ドルで契約」という約束は青木を獲得した球団に引き継がれることになるからだ。
 青木が昨季までのように打率2割8分、出塁率3割5分、20盗塁を高い確率で見込める打者であったなら、マリナーズは何も負担する必要はない。しかし、青木は今季の不調で商品価値が大きく下がっているので、トレードを成立させるには来季の年俸の5割から7割くらいを負担する必要が生じるのだ。

 最悪のシナリオは「今季480打席を超えた場合、来季600万ドルで契約」という条項を引き継ぐのを嫌って、青木を獲得したいという球団が現れないケースだ。
 その場合は、解雇される可能性もある。再建モードに入ったチームは、8月以降、来季に備えてマイナーの有望株をメジャーに引き上げて、どの程度使えるか実戦で試すことになる。その枠を空けるには、ベテランを1人か2人ほど解雇する必要があるからだ。
 マリナーズの外野陣は今季、レフト青木、センターがマーティーン、ライトがセス・スミスとグティエレスのプラトゥーンという布陣だが、青木以外はみんな好調だ。年齢的にも青木が一番上なので、メンバーの入れ替えが行われる場合は青木が真っ先に切られる可能性が高い。
 メジャーでは30代半ばになった選手は、居場所を確保することが困難になるが、青木も試練の時期を迎えることになるだろう。

ともなり・なち 今はなきPLAYBOY日本版のスポーツ担当として、日本で活躍する元大リーガーらと交流。アメリカ野球に造詣が深く、現在は大リーグ関連の記事を各媒体に寄稿。日本人大リーガーにも愛読者が多い「メジャーリーグ選手名鑑2016」(廣済堂出版)が発売中。

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