“安全確保”がアダ。ウナギ激減の要因

社会・2013/03/05 11:00 / 掲載号 2013年3月7日号

 ウナギの激減がいわれて久しいが、環境省はこのほど、絶滅の恐れがある野生生物を分類した『レッドリスト』のうち、汽水・淡水魚類の改訂版を公表し、極度の不漁が続くニホンウナギを、ついに絶滅危惧種に指定した。
 なぜ絶滅を危惧されるほど減ってしまったのか。ウナギ研究者はこう語る。
 「ウナギは普段は川で生活しているが、海に下って産卵し、誕生した子供が川をさかのぼることから降河(こうか)回遊魚と名付けられている。マリアナ深海で産卵し、川に戻ってシラスになり親ウナギになって再び海に戻って行く。激減の原因は、黒潮に乗って日本沿岸にたどり着くはずのシラスが、何らかの理由で黒潮に乗れずに日本沿岸まで到達しないからです」

 川で生活する親ウナギの環境悪化も、激減の理由の一つだという。
 「河川の汚染や河口堰、あるいは取水堰、砂防ダムの建設や河川改修などによるウナギの遡上を妨害するものを、旧建設省がバンバン造った。建設省の論理は、国民の安全を確保するためにはこれらの建設を中断するわけにはいかないというもの。アユなどの回遊魚については、傾斜のある堰などを造り環境破壊にある程度の配慮をしたが、これらは構造上ウナギにとっては遡上できませんでした。川での生活環境の悪化が、個体数の減少につながったのは否定できません」(同)

 日本人は新石器時代からウナギを食べていたとの文献も残っており、また『万葉集』にも詠まれている。我々のDNAにしっかりウナギが刻まれているのだ。今年の土用の丑の日は4月17日、4月29日、7月22日、8月3日、10月26日の残り5回。果たして食卓にウナギが並ぶのか。

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