菜乃花 2018年10月04日号

年金5兆円消滅! 中国経済崩壊でさらに溢れる下流老人たち(2)

掲載日時 2015年09月20日 14時00分 [社会] / 掲載号 2015年9月24日号

 その老後の“虎の子”が5兆円も消滅してしまった。厚労省の森浩太郎参事官が、8月27日の民主党との会合で「計算上はそういった理論も成り立つ」と認めたことが発端だ。それにしても、厚労省のノー天気ぶりには今さらながら開いた口がふさがらない。
 「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF:三谷隆博理事長)は、27日に'15年4〜6月期の運用実績を発表しました。それによると6月末時点での運用実績は2兆6489億円の黒字基調だったのですが、これには中国のバブル崩壊に端を発した世界同時株安の影響は織り込まれていない。GPIFの国内株の構成割合は23.39%で、金額にすると約33兆円です。GPIFが“基準点”にしている6月の日経平均株価は、年初来高値の2万952円を付けた日もありましたが、世界同時株安後には1万7000円台に大暴落しています。下落率は約15%ですから単純計算で約5兆円もの損失を被ったことになるのです」(民主党中堅議員)
 GPIFは日本株だけでなく外国株も22.32%保有しているから「マイナス額は5兆円では済まない可能性もある」と、この中堅議員は続ける。

 安倍晋三首相は昨年1月、ダボスの世界経済フォーラムの基調講演で「成長持続へGPIFを改革する」とアピールし、海外投資家の日本株への期待をあおることで株価を下支えさせてきた。これが現在の安倍政権下で行われているアベノミクス「第3の矢」だが、どっこい中国のバブル崩壊で計画通りにいかない可能性が出てきた。そもそもGPIFの前身は、木端役人らによる15年間の資産運用の結果、1兆7000億円の累積損失を発生させた揚げ句に廃止された悪名高い『年金福祉事業団』だ。
 年金不祥事で思い出すのは'12年に発覚した『AIJ投資顧問』による厚生年金基金資産消失事件。厚生年金基金の拡大過程で、厚生官僚やノンキャリアの天下りが全国的に行われ、結局、厚生年金基金制度が廃止される事態を招いたのだから、この事件での年金官僚の過失責任は極めて大きかった。

 GPIFは今年6月末時点での運用資産額が約141兆円と世界最大で、そのことから市場関係者の間では“クジラ”と呼ばれている。ところが、このクジラは図体がデカイ割には職員数がたった70人ほどしかいない。年金資産を運用している他国の機関と比較すると、例えばカナダ所得比例年金は、ざっと15兆円の運用資産しかないのに職員数は811名の体制を取っているのとは大きく異なる。
 独立行政法人は、職員を増やすことやプロを招いて高額報酬を提供することもままならないという人件費のしばりがきつい。その結果、70人の“ド素人”が「世界最大の巨額資産を世界最低賃金で動かしている」(有力運用会社役員)というマンガのような状態になってしまっているのだ。他国の同業者より低い賃金で、誰が他人のカネを増やそうと懸命に働くだろうか。
 「GPIFは6月末時点での資産構成割合を公表しましたが、昨年6月に17%だった国内株比率が、上限の25%に迫っている。そうなると、国内株の買い増し余地はほとんどなく、これ以上のアベノミクスによる買い支えは期待できません。これが投資家心理を冷え込ませ、株価下落に拍車を掛ける恐れがあります」(市場関係者)

 トルコの首都アンカラで9月5日まで開かれていた主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の声明は、中国経済の減速から世界経済の不透明感が強まっていることを踏まえ、「経済回復を維持するために断固たる行動を取る」と宣言して閉幕した。翻って日本では、ますます庶民生活を窮地に追い込みかねないGPIFの最高投資責任者兼理事・水野弘道氏(49)が「中国の大失速は想定外」と他人ごとのように振る舞っている。国民の命綱を握るこの人物は、一体どういうキャラクターなのか。
 「水野氏は英投資会社コラー・キャピタルから鳴り物入りで招かれました。しかし、コラーのファンドの規模は数千億円程度で、彼には100兆円を超える運用経験がありません。能力に“?”という人は多いですね」(前出の運用会社役員)

 年収3000万円と理事長に次ぐナンバー2の座を射止めることができたのは、同氏を推薦した世耕弘成官房副長官の力が大きいといわれている。
 「貧乏人の世界には興味のない永田町住人のお友達に、国民の虎の子を任せて大丈夫なのかと心配になります。厚労省関係者と足しげく高級料亭に通う姿も目撃されていますしね」(同)

 GPIFは国民の年金積立金が原資。その運用責任者が高級料亭大好きで、下流老人は「1日280円の弁当1つを朝昼晩3回に分けて」でジッと我慢…。
 こんな格差社会に誰がしたのか。怒りや悲しみを通り越し、心が凍る思いだ。

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