葉月あや 2019年5月2日号

〈男と女の性犯罪実録調書〉③正当防衛を訴え容疑を否認

掲載日時 2019年04月18日 00時00分 [官能] / 掲載号 2019年4月25日号

 さらに、市川は祐美の父親も刺そうとし、刃物を持って追いかけ回した。
「お前ら、先に車に入って避難しとれ!」
「お父さん、もう逃げよう。早く車に乗って!」

 祐美の父親はスキを見て車に乗り込み、市川と犬飼の間に車を入れようとしたが、犬飼は倒れ込んだまま、ピクリとも動かない。市川は鬼のような形相で車に寄ってきて、窓ガラスをバンバンと叩き、「お前ら、全員降りてこい。ぶっ殺してやる!」と騒ぐ。ドアノブをガチャガチャと引っ張ったり、タイヤをパンクさせようとした。あまりにも衝撃的な光景を目の当たりにして、女子供は泣き叫ぶばかりだった。

 そのとき、警察がやって来た。騒ぎに気付いた近所の人が110番通報したのだ。市川はそれに気付いて、慌てて逃走した。

 救急車も駆け付け、犬飼は病院に運ばれたが、心臓と肝臓を刺されており、出血性ショックで死亡した。祐美の父親も左腕で防御した際のケガなどで、全治5週間の重傷を負っていた。

 市川は電車に乗ってあてのない旅を続けた後、隣県の警察署に出頭した。凶器の刃物は下車した駅で落とし、何も知らなかった駅員が廃棄してしまったため、押収不能となった。

 市川はまず、祐美の父親に対する殺人未遂容疑で逮捕された。続いて、犬飼に対する殺人容疑でも逮捕された。しかし、市川は「自分の身を守るためで、正当防衛だった」と主張した。

 「祐美の父親は元ヤクザだと聞かされていたし、その仲間を連れて殴り込みにやってきたと思った。犬飼さんも身長180センチでチンピラ風。身長164センチの私にとっては脅威だった。祐美の父親はコンテナを頭に向かって振り下ろし、とっさに左手でかばったが、よろめくほどの衝撃を受けた。犬飼さんも私の体に覆いかぶさるような動きを見せた。自分の身を守るために、とっさに刺してしまった。殺してしまったことは申し訳ないが、抵抗しなければ、自分がやられていたと思う」

 これに対し、裁判所は殺人未遂事件については「被害者からプラスチック製のコンテナ箱で殴られ、小刀で反撃するのはやむを得なかった」として正当防衛を認めたが、殺人事件については「相手は素手であり、被告が選択した手段は危険性が相当高い過剰防衛だった」として、検察側の求刑22年に対し、懲役7年という微妙な量刑を言い渡した。

 そもそもこんな男に関わらないようにするには、どうしたらよかったのだろうか。いかなる理由があろうとも、一人住まいの男の部屋に女性が同居するのは避けるべきだ。「そのことが今回の事件でよく分かりました」と述べた祐美は、事件後に彼氏と入籍した。
(文中の登場人物はすべて仮名です)

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