菜乃花 2018年10月04日号

「幸せになった元カレが許せない!」30年後にストーカーになった初恋の女(2)

掲載日時 2016年12月28日 23時00分 [事件] / 掲載号 2017年1月5・12日合併号

 志保は未練が募り、松田が話してくれた断片的な情報をつなぎ合わせて現在の住所を特定した。そこは見事な豪邸だった。ガレージには高級車が止まり、庭のガーデニングも行き届いている。さらにショックだったのは、松田の妻が十人並みの女性だったことである。
 「何よ、あんな女…。本来なら私が彼と結婚して、ここに住んでいたかもしれないのに…。悔しい!」
 志保はメラメラと理不尽な嫉妬の炎を燃やした。夫には「介護の仕事で夜勤がある」と偽り、しょっちゅう松田の家を見に行っては様子をうかがうようになった。部屋の中からは子供たちの笑い声が聞こえ、本当に幸せそうだ。生活に追われている自分とは大違いだった。

 ある日、松田の自宅のテラスに灯油がまかれ、火をつけられるという事件があった。幸いにもすぐ気が付いたので大事には至らなかったが、松田は全く心当たりがなく、警察は放火事件とみて捜査を始めた。
 それから1カ月後、警察から「犯人と思しき女を逮捕した」という連絡を受けた。それが志保であることを知り、松田は仰天した。
 「何で彼女が…。なぜオレの家を知ってるんだ…」

 警察の調べによると、松田の家をうかがう不審な女がおり、近所の人の通報で警察官が駆け付けたところ、女の車の中から携行缶、着火剤、手袋、ビニール製のエプロンなどが見つかったとのことだった。
 「本人は松田さんの知り合いだと言っている。何か心当たりはありますか?」
 「それならつじつまが合う。彼女には別れ話をしたばかりだった。逆恨みしたのだろう。でも、なぜ家を知っているのか分からない」
 「自分で調べたんだそうです。でも、放火事件との関連は断固として否定しているんですよ」
 志保の言い分はこうだ。
 「家族でバーベキューに使った携行缶と着火剤が大掃除で出てきたので、実家に持って行くために車に積んでいた。彼の家の前を通り掛かったので、ちょっと様子を見ていただけ」

 結局、この主張を突き崩すことができず、検察は放火の件については不起訴処分とした。
 この決定を聞いて松田は震え上がった。これじゃ、またいつ志保が襲ってくるか分からない。自宅を知られている以上、その不安は永久に残る。妻子に危害を加えられないだろうか。元カノだと説明したら、なおのこと不安を与えるような気がする。かといって、志保に事件のことを問いただす気にはなれなかった。

関連タグ:男と女の性犯罪実録調書

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