片山萌美 2019年7月4日号

森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 安倍外交の危険さが露見した

掲載日時 2013年09月13日 15時00分 [政治] / 掲載号 2013年9月26日号

 安倍晋三首相は、8月28日にカタールのタミム首長と会談した際、シリア情勢に触れて、「情勢悪化の責任は、暴力に訴え無辜の人命を奪い、人道状況の悪化を顧みないアサド政権にある。アサド政権は道を譲るべきだ」と強い口調で述べた。直接的な言及はなかったものの、明らかに米国のシリアへの軍事攻撃を支持する姿勢を匂わせたのだ。

 アメリカは、国連安保理の決議がないまま、同盟国や友好国の協力を得て、シリアに軍事攻撃を加えるつもりだった。人道に反する化学兵器を使用すれば断固たる措置を取るという従来からの米国の主張を貫くためだ。
 ところが、世界はアメリカに追随しなかった。イギリスのキャメロン首相は、当初米軍と共同作戦に出るつもりだったが、議会に出撃を否決されてしまった。ドイツやイタリアも国連決議が唯一の攻撃の根拠だとして、攻撃に参加しないとしている。中国も立場は同じで、国連決議なしに攻撃するのは、明確な国際法違反だとしている。結局、米国との共同作戦に含みを残したのは、フランスだけだった。

 世界がシリア攻撃を容認しないのには、理由がある。イラク戦争だ。イラク戦争のときにも、アメリカはイラクが大量破壊兵器を保有していることを攻撃の根拠としたが、結局、大量破壊兵器は見つからなかった。
 シリアで化学兵器が使用されたこと自体は間違いない。しかし、それをアサド政権側が使用したかどうかが、よくわからないのだ。シリアは、政権と反体制派が内戦状態にある。どうしても政権を転覆させたい反体制派が、自ら化学兵器を使用し、その責任をアサド政権になすりつけようとしている可能性が十分あるのだ。アメリカは、通信を傍受してアサド政権が使用した証拠を掴んだとしているが、その通信自体が偽装である可能性もある。
 結局、オバマ大統領は30日になって、軍事行動は限定的であり、アサド政権打倒を目指すものではないことを強調した。さらに翌31日には、攻撃に議会承認を得るというところまで立場を後退させてしまった。いち早くアサド政権を悪者と決めつけ、アメリカのご機嫌取りを狙った安倍総理は、はしごを外されてしまったのだ。

 今回明らかになったことは二つある。一つは安倍総理の安易な米国追従姿勢だ。先進各国の動きをきちんと分析できていれば、米国の武力攻撃を国際世論に反して支持するというフライングは避けられたはずだ。
 二つ目は、アメリカが国際法を無視して、十分な根拠も持たずに武力攻撃を仕掛ける危険な国だということだ。
 こうした状況の下で、安倍総理は集団的自衛権の行使を容認しようとしている。それは、米軍と共犯になることを意味している。

 アメリカは、化学兵器の使用を食い止めるために限定的な攻撃を行うというが、化学兵器の製造工場や保管場所を攻撃することはできない。サリンなどの危険物質が拡散してしまうからだ。そうなると攻撃対象はシリア軍の司令所などにならざるを得ないが、それがどこにあるのかは、よくわからない。
 安倍総理はそのことを、どこまで理解して、日米同盟の強化を主張しているのだろうか。

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