葉加瀬マイ 2018年11月29日号

“不足”も“過多”も避けたい 夏に向けての上手な水分補給法

掲載日時 2018年04月22日 08時00分 [健康] / 掲載号 2018年4月26日号

“不足”も“過多”も避けたい 夏に向けての上手な水分補給法

 次第に気温が上がり、時には夏を思わせる日もあるこの時期。少し体を動かしただけでも汗ばみ、喉の渇きで冷たい水も美味しくなり始めた。
 その水分補強の重要性を、まずは予防医学の専門家がこう説明する。
 「水分を上手に摂らないとバテを起こし、酸素や栄養素を細胞へ届ける働きも鈍くなります。摂取した水分は、血液に混ざって毛細血管を通り脳にも運ばれる。その水分が不足すると血液の粘性が増し、流れが悪く、詰まりやすくなる上、そこから脳梗塞などへつながる可能性もでてくる。病気に罹りにくい健康な体を作るには、水分補給は欠かせません」

 そのため、夏前とはいえ喉が乾いたと思ったら、必ず水分を補給することだ。しかし、ある内科医はこうも言う。
 「よく1日に約1.5〜2リットルの水分を摂るべきという話を聞きますが、仮に2リットルの4分の1の500ミリリットルしか飲まなくても、そう心配することはありません」

 いったいどういうことなのか。
 「理由は、腎臓が体内の水分量をコントロールしてくれるからです。水分が不足すれば腎臓が尿を減らし、体内の水分をキープする。確かに、1日に必要な水分量は体重の4%程度なので、体重50キロであれば2リットルとなりますが、実際には一般的に食事から1日0.8〜1リットルの水分を摂取しているため、意識して飲む水の量は1リットル前後が目安。喉が渇いていなければ無理に飲む必要はないのです」(同)

 ただし、「一度に飲む量は注意が必要」(同)だとも言う。
 「腎臓の尿の処理速度は、毎分16ミリリットルが限界なんです。そこへ、炎天下で仕事をしている人などは水分を摂りすぎて、体内の電解質(ナトリウムとカリウム)のバランスが崩れてしまい、低ナトリウム血症を起こして意識を失ってしまうことがあるのです」

 いくら喉が渇いているからといって、一気に水分を飲み込むと、腎臓で処理しきれない水分が血中に流れ、ナトリウム濃度が低下してしまうのだ。
 「そうした状態を放置すると、頭痛や食欲不振の症状が表れ、重度の場合は痙攣や昏睡状態に陥ってしまう。加えて水分の摂りすぎは、花粉症などのアレルギー症状やアトピー性皮膚炎を悪化させることも分かっています」(健康ライター)

 また、摂取する場合、水分の温度は冷たすぎず熱すぎない程度のものが好ましい。それも、一気にがぶ飲みするのではなく、少しずつ飲むことだ。冷たい水は体を冷やし、腹痛や頭痛、めまいを引き起こすこともあるため、常温か白湯がいいとされる。地域、季節により若干の差はあるが、5℃〜15℃の水道水ぐらいが無難ということだ。
 健康ジャーナリストの深見幸生氏は、こう言う。
 「もう一つ気にかける必要があるのが、寝る前と起床時の水分は健康の源と言われ、非常に重要であるということです。人は寝ている間に、コップ1杯から2杯分の汗をかきます。しかもその間、当然ながら水分は補給されない。その状態が、脳梗塞を引き起こす原因ともなります。また、起床時の水分補給は消化管を刺激して排便を促し、便秘解消にもつながります」
 ちなみに寝ている間、体内では昼間に働いていた臓器や筋肉などを休めたり、肌の修復などが行われているが、水分が不足すると栄養も各所へ運ばれにくくなり、良質な睡眠とは言えない状態になる。

 ところで、水分補給に最も向いていないのは、どんな飲み物なのか。まず真っ先にNGなのが、“茶の葉”が材料になっているものだという。
 「日本茶や紅茶、ウーロン茶は水分補給に適していません。いずれもカフェインが含まれているからです。カフェインには利尿作用があるため、飲めば体内の水分が排出されてしまいます。水分補給が目的なら、茶の葉を用いない麦茶やコーン茶、ハーブティーを選ぶのが正解です」(女子栄養大栄養学部研究員)

 また、コーヒーや栄養ドリンクも、カフェインが多く含まれるため、水分補給には適していない。
 「やはり適しているものとなると、白湯か常温の水になってくる。冷水はたくさん飲むと胃腸の働きが悪くなり、消化不良や下痢につながってしまいますからね。ただし、適さないといっても、喉が渇いて他に飲み物がない場合は、カフェインが入っていたとしても何も飲まないよりはマシです」(内科医)

 気温が上がると飲みたくなるのがビールをはじめとしたアルコール類だが、こちらもやはり、水分補給よりむしろ水分不足を招く場合が多い。
 「ビールなどは飲んだ分より多くの水分が排出されることがある。利尿作用がある上に、肝臓で分解される際に大量の水分を使います。アルコール度数の高いお酒ほど多くの水分が使われ、飲めば飲むほど水分不足になる。そのため、アルコールと一緒に水を飲むのが理想的です。そうしたことからも分かるように、飲みすぎてしまった後は、体が相当な脱水状態になっています。だからこそ、寝る前に十分な水分補給をすることです」(前出・健康ライター)

 我々の周りには、コンビニをはじめ自動販売機などで、ジュースや炭酸飲料が溢れている。特に甘い炭酸飲料などは少量でも満足してしまうため、水分量的に見ると不足がちになり、また、余計に喉が渇くという悪循環にも陥る。
 「スポーツ飲料も注意が必要です。運動中や暑いときは汗をかき体内の塩分を消費するため、水分と合わせてエネルギーの補給も必要になる。そのために糖分や疲労回復効果のあるクエン酸などが含まれることから、一見、スポーツ飲料は水分補給に適しているように思えますが、その糖分はかなりの分量です。それほど運動量が多くない人は、糖分、ナトリウム過多となってしまいます」(内科医)

 「寝る前に水を飲むと、夜中にトイレに行きたくなってしまう」と、“寝る前の1杯”を摂りたがらない人も多くいるだろう。しかし、体内の水分不足と夜中の尿意を比較すれば、避けたいのはやはり水分不足。これから夏に向け、意識したいものだ。

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