☆HOSHINO 2019年6月27日号

【話題の1冊】 著者インタビュー 苑場凌&JKS12 刑務所でマンガを教えています。 KADOKAWA 650円(本体価格)

掲載日時 2019年01月31日 15時30分 [エンタメ] / 掲載号 2019年2月7日号

【話題の1冊】 著者インタビュー 苑場凌&JKS12 刑務所でマンガを教えています。 KADOKAWA 650円(本体価格)
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★学んだ姿勢は出所後にきっと役に立つはず
――受刑者に漫画の背景画を教えるきっかけは何だったのですか?
苑場 知人の会社が山口県「美祢社会復帰促進センター(刑務所)」で刑務作業を請け負っており、その作業を見学したのが始まりでした。ここは日本初のPFI手法を活用して運用されている官民協働の刑務所で、当初はチラシなどを制作しているセンター生(受刑者)が、簡単なイラストでも描ければ作業内容に幅が出るのでは、と考えました。初めて彼らの絵を見た時は、ごまかしたり、やっつけで描かれていて、その物事に対する雑な姿勢が、刑務所に入る事となった一因ではないかと思いましたね。そこで漫画の背景画を通して、物事に取り組む姿勢を学んでもらえたらと思い、指導を開始しました。

――みなさん、驚くほど短期間で上達していますね。指導してみてどう感じましたか?
苑場 活動当初は、そもそも自分たちに背景画など描けるはずがないという雰囲気でした。そこで基本中の基本、1本の線を引くことから教え、同時に作画に対する姿勢“ごまかさず、丁寧に根気よく、そして途中で諦めない、投げ出さない”ということを繰り返し指導し続けました。すると絵の上達と共に彼らにも変化が表れたのです。当初は、やる気なさそうに小声でボソボソとしゃべっていたのが、次第に質問の要点も的確になり、何より目の輝きが変わってきたのです。
 そして指導を始めて1年半、漫画家のアシスタント並みに背景画が描けるようになった彼らに、発表の場をもたせてやりたいと思いました。私が描く漫画の背景として彼らの絵を使用してみようと考えたのです。実際に漫画本が発売されると、彼らは「まさか自分が描いた絵が漫画の本になるなんて…」と、真顔でつぶやいていました。
 彼らは私に会うまで背景画を描いたこともありませんし、ましてやそれが本に載るなんて想像もしていなかったことでしょう。しかし、一つのことに真面目に取り組めば、想像もしなかったことができるんだと知り、私としても改めて活動の手応え、そして、意義を感じました。

――今後は、どんな活動を考えているのでしょうか?
苑場 活動を始めて5年目に入りました。彼らの背景画を販売するサイトも作りましたが、まだまだ活動資金が賄えるほど売れてはおらず、いまだ大赤字です。しかし、出所後の彼らにとって、ここで学んだ姿勢は、何の仕事をしてもきっと役に立つはずです。そのためにも、がんばって続けていきたいと思っています。
(聞き手/程原ケン)

苑場凌&JKS12(そのば・りょう)
本名・渋谷巧。山口県美祢市出身。漫画家。講談社少年マガジン2大新人賞受賞。『浅見光彦ミステリースペシャル』の作画などを手掛けている。

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