葉加瀬マイ 2018年11月29日号

LiLICoオススメ「肉食シネマ」 イーストウッド監督が「普通の人々」に伝えたいこと 『15時17分、パリ行き』

掲載日時 2018年03月12日 10時00分 [エンタメ] / 掲載号 2018年3月15日号

LiLICoオススメ「肉食シネマ」 イーストウッド監督が「普通の人々」に伝えたいこと 『15時17分、パリ行き』

 お仕事お疲れ様です。
 クリント・イーストウッド監督が実際に起こったテロ事件を描く…。いったい、どんな感じになるのかと、誰もが思いますよね。テロを描いていますが、テロ・アタックそのものより、犯人に立ち向かった青年たちが、なぜあんなに勇気を振り絞って、命懸けでみんなを守れたのかに重心を置いています。
 そして、何より一番驚くのは、実際に立ち向かった青年たちが演じていることでしょう。役者ではなく、勇気ある3人の英雄たちが今回のイーストウッド監督の作品の主演。これはなかなかすごいことです。

 膨大な時間を掛けてリサーチし、主演の役者は実際に体験した本人と対面して色々な話を聞くのが通常ですが、なんたって本人たちが演じているので当時の緊張感や臨場感、行動そのものが本物。今回は私、残念ながらスケジュールの都合でイーストウッド監督に会うことはできなかったけれど、ものすごく日本の観客のことを気にしてました。どのようにこの作品を受け止めてくれるのかを…。
 イーストウッド監督は日本の人たちに向けて「日本の方もぜひ、映画を楽しんで見てもらいたいね。これまでいろんな場所で映画を作ってきたな。本作は今までとまったく違う手法で映画を作ったんだよ」とコメントしています。
 そもそもこの企画に惹かれたところといえば「大きな英雄劇ですべてがリアルだし、信念もあるし、我々が知らないことがたくさんあって、みんなに知ってもらいたいと思ったから」だって。

 事件はうっすらニュースで知っていたほどでしたが、今回は3人の“英雄が出来上がるまで”が見られます。しかも、よく映画にありがちな賞状を授与するシーンでの役者の合成映像でも、今回は本人たちだし、当時の実際のパレード映像なども使われていて、引き込まれます。
 最近は、多くの方が見て見ぬフリをする。“そんなことは人間として恥ずかしい。自分から行動しよう!”そうイーストウッド監督はこの1本を通して言いたいのでしょう。困難なシチュエーションを映画を通して体感して、“見た人たちが少しでも優しくなれればいいなぁ”と私は思います。
 現場でのイーストウッド監督は「アクション!」と叫ぶのではなく、優しい声で「ア〜ンド・ムーブ」(さぁ〜動いて)と言います。私は、ふと、それを思い出しました。

画像提供元
(C)2018 Warner Bros. Entertainment Inc., Village Roadshow Films (BVI) Limited, RatPac-Dune Entertainment LLC

■『15時17分、パリ行き』
監督/クリント・イーストウッド
出演/アンソニー・サドラー、アレク・スカラトス、スペンサー・ストーン、ジェナ・フィッシャー、ジュディ・グリア
配給/ワーナー・ブラザース映画

 3月1日(木)丸の内ピカデリー、新宿ピカデリーほか全国ロードショー。
 2015年8月21日、オランダのアムステルダムからフランスのパリへ向かう554人の客を乗せた高速列車タリスの中で、銃で武装したイスラム過激派の男が無差別殺傷を試みる。乗客が怯える中、その列車に偶然乗り合わせていたアメリカ空軍兵のスペンサー・ストーンとオレゴン州兵のアレク・スカラトス、そして、2人の友人である青年アンソニー・サドラーが男を取り押さえようと立ち向かう。

LiLiCo:映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS「大様のブランチ」「水曜プレミア」、CX「ノンストップ」などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。

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