葉加瀬マイ 2018年11月29日号

LiLICoオススメ「肉食シネマ」 すべてを残して出て行った街に戻った男は… 『マンチェスター・バイ・ザ・シー』

掲載日時 2017年05月18日 17時00分 [エンタメ] / 掲載号 2017年5月25日号

LiLICoオススメ「肉食シネマ」 すべてを残して出て行った街に戻った男は… 『マンチェスター・バイ・ザ・シー』

 お仕事お疲れ様です!
 いつもハードに働いて、家族や自分の生活を守るために、嫌なことがあっても表情に出さず頑張っている日本の男性が大好きです! 仕事に誇りを持ち、“今日もチャンスがいっぱい”と思いながら、元気よく家を出る姿に私は萌えます。

 今回の主人公、リー・チャンドラーは、決してハキハキした男性のタイプではないけど、アパートの便利屋として確実に仕事をこなし、修理不可能な場合は、それをちゃんとお客様に説明してあげる人。もちろん納得しない客もいれば、リーのことを誘ってくるお客様もいます。これらの登場人物が、このドラマのストーリーに大いに絡んでくると思いきや、絡みは本当にその修理のときだけ。でも、便利屋さんにとっては、それが当たり前の日常かもしれない。時にはリーも我慢できず、態度に出てしまって上司から注意されるも、淡々と聞いてます。それが世のサラリーマンと少し重なるところかも…。

 そんな彼に1本の電話がかかってきます。それはリーの兄・ジョーが倒れたという知らせ。故郷へ向かいますが、途中で息を引き取ってしまうのです。
 ジョーの息子、リーにとっては甥のパトリックの面倒を見ることになりますが、これがなかなか大変な生活に…。驚いたことに、ジョーの遺言に、リーに後見人になってほしいと書いてありました。そんなつもりも準備もまったく想像していなかった彼は、ただただ悩むばかり。要所要所でリーの過去が振り返られ、彼の人生に何があったのかを知っていくと、とっても心が痛みます。

 大きな出来事や、ちょっとしたことが起こったりしますが、事の大小に関わらず、物語はふわふわと通り過ぎます。過去の“悲しみ”や“憎しみ”が、時間が経つと“許す”という気持ちに向かうのかもしれません。
 物語のラストに近づき、リーとパトリックがボール遊びをしているシーンで感じるのは、やはり親を、そして子を抱きしめたいという気持ちです。とてもシンプルですが、深い。それぞれ生き方のシナリオが違っても、この映画のように、そういう気持ちにさせるのだと思います。

 人生そのものを描いた映画だからこそ、少し長めの上映時間も長く感じません。見たあとに不思議と、この作品の空気に包まれているのがきっと分かります。

画像提供元:(C)2016 K Films Manchester LLC. All Rights Reserved.

■『マンチェスター・バイ・ザ・シー』
監督・脚本/ケネス・ロナーガン
出演/ケイシー・アフレック、ミシェル・ウィリアムズ、カイル・チャンドラー、ルーカス・ヘッジズ、カーラ・ヘイワード他
配給/ビターズ・エンド、パルコ

 5月13日(土)シネスイッチ銀座、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開。
 アメリカ・ボストン郊外で便利屋として働くリー・チャンドラー(ケイシー・アフレック)は、故郷のマンチェスター・バイ・ザ・シーにいる兄の急死をきっかけに帰郷。遺体を抱きしめお別れをすると、息子で甥にあたる16歳のパトリックに死を知らせるため、ホッケーの練習試合をしている彼を迎えに行く。その後、兄の遺言を聞くために、パトリックを連れて弁護士の元を訪れるが、その内容には、ジョーがパトリックの後見人にリーを指名していた。リーは過去の悲劇と向き合わなくてはならなくなるのだった…。

LiLiCo:映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS「大様のブランチ」「水曜プレミア」、CX「ノンストップ」などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。

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