〜筆頭株主の“次の一手”に金融庁も警戒〜 非常事態大和証券に忍び寄る中国マネーの影(2)

社会・2010/12/10 11:00 / 掲載号 2010年12月16日号

 確かに金融庁が警戒を深めるほど、この1年間で大和証券はアジア戦略にのめり込んでいる。出井伸之・元ソニー会長が設立したコンサルタント会社と提携してアジアの新興企業を対象としたファンドを立ち上げたのはその一環。次いで、香港金融界で知名度が高い欧米系投資銀行の逸材を次々と採用してアジア株のセールス部門を強化。つい先ごろには、ベルギーの金融大手KBCグループのアジア株デリバティブ部門と新株予約権付社債部門を1000億円で買収した。大和は今後、香港市場でデリバティブの一種であるワラントの発行はもちろん、欧米やアジア企業のCBを投資家に販売することが可能になる。

 とはいえ、大和が投資銀行部門を強化した場合のリスクは格段に高まる。そのことは、2年前に金融危機を招いたリーマン・ブラザーズの末路を見れば自ずと明らかだ。従って金融庁が“余計な節介”を焼いて大和のアジア戦略に目を光らせている、との金融情報筋の見立てには説得力がある。

 金融庁の“親心”が杞憂に終わればともかく、問題はアジアに軸足を移した大和の投資銀行戦略が裏目に出た場合だ。
 「アジア戦略で失敗すれば、株価は急落する。その場合、米ファンドは市場で買い増すに決まっています。野村に次ぐ大手証券である以上、政府が大和を潰すことは考えられないからです。当然、そうなれば大和は再編の主役に浮上する。ハリスにとって、これぞ金儲けのチャンスなのです」(証券記者)

 確かに米投資顧問のハリスは、三井住友FGと決別した大和証券に対し、王手・飛車取りをかけた恰好である。大和が独り立ちに成功すれば、現在は400円前後で推移している株価が急騰してタップリ儲かる。一方、金融庁が懸念しているような事態になれば大和は再編の渦中に晒され、ハリスにとっては「第2の日興」になる。

 もし希望通りの争奪戦に発展しなければ、日本企業の乗っ取りに意欲を燃やす中国企業に保有株を高値で引き取らせれば済むことなのだ。
 「投資ファンドは標的企業を攻め立てながらガッチリ利益を確保することだけを目的にしており、そのためには手段を問いません。ハリスが大和を標的に据えたのは、独自の嗅覚を働かせた結果、美味しいビジネスになると判断したからでしょう」(市場関係者)

 これで大和が業績回復に手間取るようだと、同社の非常事態が俄かに現実味を増してくる。

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