菜乃花 2018年10月04日号

話題の1冊 著者インタビュー 夢枕獏 『平成釣客伝 夢枕獏の釣り紀行』 講談社 1,600円(本体価格)

掲載日時 2016年12月31日 15時00分 [エンタメ] / 掲載号 2017年1月5・12日合併号

 ――ロシア、カナダなど世界中を巡る釣り紀行はまさに憧れです。海外での釣りで印象的だったのは何でしょうか?

 夢枕 一番はアラスカで釣ったキングサーモンです。小舟で川に出て、海から戻ってきたばかりのサーモンをルアーで狙うんです。食い付いた瞬間、サーモンが川からジャンプするんですが、10メートルは飛び跳ねてるんじゃないかと思うほど迫力満点。実際は1メートルくらいなんでしょうけどね(笑)。ルアーがグイグイと引っ張られる手応えは、まさに猛獣と格闘しているような感覚です。50ポンド(約22・6キロ)の大物を釣ることができたのは、今でも忘れられない思い出ですね。

 ――普段の生活は「ペンか竿、どちらかを握って生きている」とあります。夢枕さんにとって「釣り」とは何でしょうか?

 夢枕 まさに『人生の一部』です。釣りがない人生はもはや考えられません。現在は月に5日ほど、釣りに出掛けています。時間があったらというよりも、時間がなくても行くといった方がいいかもしれません。6〜10月は鮎が解禁になるので友釣りをやります。もう、解禁日直前は全身をかきむしるような禁断症状が出るんですよ(笑)。冬場は海でカワハギ釣りですね。今の時期、カワハギの肝は『キモパン』というほど、肝がパンパンに張っているんです。これを醤油で溶いて食べる刺し身は最高にうまいですよ。

 ――いつ頃から釣りにハマったんですか?

 夢枕 子どもの頃、親父に連れていかれたのが最初ですね。本格的に始めたのは20歳前後の時の鮎釣りからです。毛針釣りでしたが、これにハマってしまい、そこから本格的な釣り人生が始まりました。

 ――中高年から釣りを始めようと思っている読者も多いと思います。まずはどんなところから始めたらいいでしょうか?

 夢枕 私の友人にも50代半ばになってから釣りを始めた人が何人かいます。みんな例外なくドツボにハマってますね。口をそろえて「これで老後は怖くない」と言ってます。みんな仕事を辞めた後、何をしたらいいのか心配だったんですね。「迷いがなくなった」とうれしそうに釣りに行ってますよ。釣りのいいところは、お金があってもなくても各人に合わせて始められることです。近所の防波堤で竿と餌だけで気軽に始めてもいいし、海外でクルーザーに乗って、ワインを飲みながらカジキを狙ってもいいんです(笑)。自分の懐と体力に合わせて始めてみてください。じっくり魚と向き合うと『濃い時間』が過ごせますよ。
(聞き手/程原ケン)

夢枕獏(ゆめまくら ばく)
1951年1月1日、神奈川県小田原市生まれ。'77年作家デビュー。『キマイラ』『サイコダイバー』『闇狩り師』などのシリーズ作品を次々発表。釣り、観劇、作陶など多彩な趣味を持つ。

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