和地つかさ 2018年9月27日号

童貞をささげた初恋相手を惨殺! 12年間片思い男の“天国と地獄”(2)

掲載日時 2016年07月10日 23時00分 [事件] / 掲載号 2016年7月14日号

 天国から地獄−−。同じ時期に近藤の職場では系列会社からパワハラ上司が出向してきて、毎日のように怒鳴られるようになった。近藤は手の震えが止まらなくなり、休職することになった。
 近藤は美幸さんにそのことを慰めてほしかったが、それが原因でデートすらできなくなり、そんな時期が1カ月以上も続くと、美幸さんからこんなメッセージがLINEで届いた。
 〈私さぁ、彼氏作ってみたんだ。ごめんね。人を傷つけることしかできなくて〉

 失恋すら経験がなかった近藤はどうしたらいいのかも分からず、「自分が嫌われたわけではないのだから、またいつか戻って来てくれるはずだ」と自分に言い聞かせた。そのためには自分が仕事を頑張らなければならない。美幸さんに「結婚するなら、正社員でないとダメ」と言われていたからだ。
 その後、近藤は新しい工場に異動させてもらって働き始めた。だが、相変わらず残業が多く、美幸さんに愚痴をこぼしても〈正直、ブラックだね。死ぬ前にやめちゃいな〉という短い返事が返ってくるだけ。美幸さんに復縁を持ち掛けても拒否され、近藤は再びうつ状態となり、長い休職生活に入った。

 事件の1カ月前、美幸さんからLINEが届いた。
 〈今、彼氏とめっちゃ楽しい。これからはLINEやメールを控えてほしい〉
 これを機に彼女とのやり取りは一切なくなった。近藤は自殺を考えた。美幸さんのいないこの世に生きていても仕方がない…。
 事件の3日前、美幸さんにそっくりなアイドルの握手会に出掛けた。アイドルはほんの一瞬だけ微笑みをくれるけど、しょせん手には届かない。手の届く位置にいたアイドル以上の女性はすでに失っている…。近藤は「他の男に取られるくらいなら、自分のモノにして殺そう」と決意を固めた。

 事件当日、近藤は美幸さんの仕事が終わる時間帯を狙って、美幸さんの勤務先の駐車場に忍び込んだ。直ちに逃げられないように美幸さんの車の前輪に車止め用の木材を置いた。
 近藤が隠れて待っていると、間もなく美幸さんがやって来た。何も知らずに車に乗り込み、スマホで誰かと話し始めた。近藤は包丁を取り出し、運転席へ。その姿を見て美幸さんはビックリしたが、近藤はドアを開けるや、いきなり胸付近を突き刺した。
 「イヤーッ!」

 肩を押さえ付け、さらに刺そうとすると、「私、死んじゃうわ…」と哀願されたが、近藤はさらに4回ほど胸付近を突き刺した。
 美幸さんは血まみれになり、近藤は心中しようと自分の胸にも包丁を突き刺したが、あまりの痛みで死に切れず、通行人に助けを求め、病院へ運ばれた。美幸さんも発見され、別の病院に運ばれたが、医師は死亡を確認しただけだった。

 事件で一番驚いたのは周囲の人間だった。2人が付き合っていたことはもとより、接点を持っていたことすら誰一人として知らず、警察も「被害者からは一度もストーカー相談はなかった」と首をかしげた。
 「オレは生涯誰とも結婚しない。でっかいお寺にお地蔵さんを建ててもらい、一生姉貴の供養をしていく」
 裁判所は「何の落ち度もない被害者を、自殺の道連れにして殺害した行為は極めて身勝手だ」と断罪し、懲役18年を言い渡した。

 果たして美幸さんはどの程度、近藤の気持ちを理解していたのだろうか。軽い気持ちで肉体関係を持ったりすると、とんでもないことになるという証左なのかもしれない。
(文中の登場人物はすべて仮名です)

関連タグ:男と女の性犯罪実録調書

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