葉加瀬マイ 2018年11月29日号

高度・高額治療の現場 1本6万円から200万円「高額抗がん剤」の延命効果(2)

掲載日時 2010年10月31日 11時00分 [健康] / 掲載号 2010年11月4日号

 欧米で使用されている「エロキサチン」という抗がん剤がある。
 この抗がん剤は、進行中や再発の「大腸がん」に有効な治療薬で、現在、世界60カ国で使用されているが、日本ではまだ健康保険治療では未承認である。

 医事ジャーナリストの松木隆氏がこう言う。
 「これは1本の価格が11万円(100mg)ぐらいで、未承認国は日本の他では数カ国。ただし、日本でも個人的に輸入して使用している病院もあります。病院が個人的に輸入している抗がん剤は他にもたくさんありますよ。ベルケード(多発性骨髄腫=約15万円)、キャンバス(慢性リンパ腫白血病=約68万円)もそうですね」

 米国には、「脳腫瘍」の治療薬で、205万円という「クシアーデル」といった薬もある。
 途方もない高額なこうした抗がん剤に米国民は「貧乏人はがん治療ができない」と言った声も出ているというが、この9月、わが国の厚生労働省は抗がん剤について、前例のない方針に踏み切った。
 普通、新薬など医薬品の承認を得るためには、国内の治験が必須で、審査などで認可が下りるまで数年かかることも珍しくない。
 欧米など海外では有効とされている薬が日本では認められないことは、とりわけ末期がん患者にとっては死活問題である。

 こうした患者の声に厚労省はこの夏、「医療上の必要性の高い未承認薬・適応薬検討会議」を開き、未承認の薬でも、保険適応薬としてこの9月から患者の手元に届くようになったのだ。
 「全部で5種類。卵巣がん治療薬の『ジェムザール』と『ハイカムチン』。それに、切除不能・再発進行胃がん治療薬の『ゼローダ』などがそうです」(前出・松木氏)
 中でも「ゼローダ」は、すでに欧米では有効な抗がん剤として幅広く利用されており、20%の腫瘍減少、43%が安定しているという患者データもある。
 もっとも、延命効果については未知数とされている。使用法は1日に1800〜3000mgの使用で、21日間の投与。費用は保険適応で、1万5千円ほどだ。

 抗がん剤の新薬はこうして相次いで登場してきているが、残念なことにペニシリンのような特効薬はまだ開発されていない。
 そのため、末期がん患者の耳元に、「がん治療が効果的」といった、ニュースが伝わると、つい、そうした病院に足を運ぶことになる。
 たいがいは「自由診療」(健康保険が適応されない)のために、治療費も莫大なものになる。
 自家がんワクチンを治療に採用している病院の治療費は1〜8段階の診療総額で145万円である。
 「免疫活性化血管内治療」という方法の治療費は初回49万円。活性化リンパ球を治療にしている東京の病院は3回の治療で63万円。
 「もし、こうした自由診療の病院を選ぶときは、最初に、徹底して過去の患者データを病院に求めるべきですね。また、諸費用の総額を事前によく聞いておくことも大切。そしてその額と自分の余命、また財産をよく考えてみる。他人に言うのは簡単なんですが…」(前出・松木氏)

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