菜乃花 2018年10月04日号

話題の1冊 著者インタビュー 藤田憲右 『ハンパねぇ!高校野球』 小学館よしもと新書 780円(本体価格)

掲載日時 2016年08月14日 18時00分 [エンタメ] / 掲載号 2016年8月18日号

 −−甲子園では数々の名勝負が生まれています。一番印象に残っている試合はなんですか?

 藤田 やはり第78回(1996年)夏の決勝戦、松山商対熊本工の『奇跡のバックホーム』ですね。延長10回裏1死満塁というサヨナラのピンチで、松山商の沢田監督が突然、ライトを今まで控えだった矢野君に交代させました。その直後、熊本工の選手が打った打球は矢野君の頭上に向かって飛びました。NHKの実況アナですら「行った! 文句なし!」と叫んだほどの大飛球。誰もが熊本工の優勝と思った瞬間、打球は風で押し戻され、矢野君は前進しながらキャッチ。返球もダイレクトでキャッチャーのミットに入り、間一髪アウトでした。そして次の回、矢野君は先頭で2塁打を打ち、そのまま勝ち越しのホームを踏みます。結局、松山商はこの回3点を奪い甲子園の頂点に立ちました。

 −−なんとも劇的なシーンですね。

 藤田 実はこの矢野君の交代にはちょっとしたエピソードがあるんですよ。突然のライト交代は不可解だったのですが、その理由は、沢田監督が試合直前に亡くなった父の「ライトは代えないのか?」というお告げのような声を聞いたからだというのです。しかも矢野君は、絶体絶命のサヨナラのときと打球を後ろから回り込んだとき以外は、ノーバンド返球を禁止されていました。まさにその巡り合わせの瞬間、ノーバン返球でアウト。本当に奇跡的なシーンでしたね。

 −−かつての強豪PL野球部の休部については、どのように感じていますか?

 藤田 第80回大会準々決勝の松坂大輔率いる横浜高校との延長17回の試合は、今でも強く記憶に残っています。数々の名選手を輩出しましたが、不祥事や学校経営の問題などもあり休部は仕方ないかな、という思いはありますね。大阪は10〜20年周期で強いチームが出てくるんですよ。以前は牛島和彦や香川伸行で有名だった浪商が一世を風靡しました。現在では大阪桐蔭です。これも時代の流れなんでしょうね。

 −−高校野球の観戦時に抑えておきたいポイント、醍醐味を教えてください。

 藤田 去年は東海大相模や大阪桐蔭など実力が一つ抜き出ているチームがありましたが、今年は戦力が均衡しており、どこが優勝してもおかしくないと思います。テレビ観戦もいいですけど、可能であればぜひ、球場に足を運んでください。4番打者が入るとシフトが代わったり、カバーリングが見えたりと、また違った楽しみ方ができると思いますよ。
(聞き手/程原ケン)

藤田憲右(ふじた けんすけ)
1975年12月30日生まれ。静岡県出身。'97年に大村朋宏とお笑いコンビ・トータルテンボスを結成。高校時代、静岡県立小山高校のエースとして地方大会に出場し、2試合連続1安打完封勝利を挙げる活躍をした。この夏、神保町花月にてイベント「ハンパねぇ!高校野球」WEEKを開催。

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