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やくみつるの「シネマ小言主義」 「ケネディ伝説」を創った賢夫人の物語 『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』

掲載日時 2017年04月09日 14時00分 [エンタメ] / 掲載号 2017年4月13日号

やくみつるの「シネマ小言主義」 「ケネディ伝説」を創った賢夫人の物語 『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』

 さまざまな憶測を生み、すでに語り尽くされてきた感のあったケネディ大統領暗殺事件。何度も映画化されましたが、1周回って、次の世代の人は案外よく知らない人も多いようです。

 奇しくも「ケネディ大統領ができなかったことを私はやる」と公言する大統領が現れた今、ファーストレディだったジャクリーン・ケネディサイドから「ケネディ伝説」を描いたこの映画、犯罪被害者である妻目線での解釈が目新しいと感じました。
 巧みだなと思うのは、主演のナタリー・ポートマンの顔がジャッキーと似ているわけじゃないのに、妙にリアリティーがあるところ。ホワイトハウス内部をジャッキーが案内する古い映像と、ナタリー・ポートマンがセットで演じた映像とを混在させる演出などは、大いに成功しています。
 トランプはオバマ時代の真紅のカーテンを成金カラーのゴールドに替え、チャーチル像を戻すなどの模様替えをしましたが、ジャッキーのセンスとの対比も面白い。住居も兼ねているから好きにしていいとはいえ、トランプがいかに台なしにしているのかも分かります。

 それにしてもジャッキーは、今でもグレース・ケリーやオードリー・ヘプバーンと並ぶアイコンとされていますが、自分などから見ると、「珍しい」顔立ちとしか思えない。それなのに、今なお、憧れられているというのは、よほどのセルフプロデュース力があったに違いありません。
 そしてこの映画を見ると、たった2年間の大統領でしかなかった夫を伝説に変えたのもジャッキーのプロデュース力によるものだったのかと思えてきます。
 最初に授かった2人の子を失い、自分の腕の中で絶命する最愛の夫。後に「ケネディ家の呪い」とまで言われる不幸の連鎖に巻き込まれていくジャッキーの苦悩と、毅然と立ち向かっていく凄みが折れそうなほど痩せたナタリー・ポートマンの表情から、生々しく伝わってきました。名演だと思います。

 ケネディの葬儀でジャッキーに手を引かれていた女の子キャロラインが、アメリカ駐日大使となっていて、なんとかサインをいただく機会はないものかと願っていたのですが、残念ながら帰国されてしまいました。
 ところが昨年末、自分たち夫婦は、成田空港で偶然、彼女とすれ違ったんです。カミさんが気付き、自分は後ろ姿だけ見ました。5〜6人のSPはついていましたが、普通にコンコースを歩いていましたね。
 ケネディ好きの自分は、最後にニアミスしただけでも幸いとしなければねぇ。

画像提供元:(C)2016 Jackie Productions Limited

■『ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命』
監督/パブロ・ラライン
出演/ナタリー・ポートマン、ピーター・サースガード、グレタ・ガーウィグ、ビリー・クラダップ、ジョン・ハート
配給/キノフィルムズ

 3月31日(金)TOHOシネマズ シャンテ他にて全国公開。
 1963年11月22日、ジャッキーの愛称で親しまれたジャクリーン・ケネディ(ナタリー・ポートマン)の夫、ジョン・F・ケネディ大統領がテキサス州ダラスでのパレード中に目の前で暗殺されてしまった。しかし、彼女には夫の死を悲しむ間もなく、やらなければならないことが山ほどあった。暗殺されるや、夫が「過去の人」として語られることに憤りを感じた彼女は、ファーストレディとしての使命を果たそうとする。

やくみつる:漫画家。新聞・雑誌に数多くの連載を持つ他、TV等のコメンテーターとしてもマルチに活躍。『情報ライブ ミヤネ屋」(日本テレビ系)、『みんなのニュース』(フジテレビ系)レギュラー出演中。

関連タグ:やくみつるの「シネマ小言主義」

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