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森永卓郎の「経済“千夜一夜”物語」 株価はどこまで上がるのか

掲載日時 2015年04月07日 13時00分 [政治] / 掲載号 2015年4月16日号

 日経平均株価がいつの間にか2万円に近づいている。本誌が発売されるころには2万円を超えているかもしれない。政府経済見通しでは、'14年度の経済成長率はマイナス0.5%だ。マイナス成長なのに株価が上がるという不思議な現象は、なぜ起きているのだろうか。

 一つの理由は、株価は景気を先取りするということだ。'14年度の景気が思わしくなかったのは、消費税率の引き上げと日銀の金融緩和で物価が大きく上昇したにもかかわらず、賃金がそれに見合うだけ上がらなかったからだ。実際、昨年4月から12月の消費者物価は、前年比3.7%も上昇した(帰属家賃を除く)したが、賃金は1.0%しか上がらなかったので、実質賃金が2.7%のマイナスになってしまった。これでは、景気がよくなるはずがない。
 ところが、昨年秋から日本経済に神風が吹いた。原油価格の大幅な下落にともなって、物価上昇率が落ち着いてきたのだ。

 実際、1月の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は、前年同月比2.2%の上昇にとどまった。上昇幅は6カ月連続の縮小だ。消費増税の影響を除くと、いま、消費者物価は前年比でわずか0.2%しか上がっていないのだ。しかも4月以降は消費税増税の影響が一巡するため、消費者物価の対前年上昇率は、限りなくゼロに近づくだろう。
 一方で春闘の状況をみると、賃金上昇率が昨年を上回るのは確実だ。つまり'14年度と打って変わって、'15年度は実質所得増になる。その結果、消費が拡大し景気を牽引しそうなのだ。株価は、それを先取りしているのだろう。

 もう一つ、日経平均株価が上昇している理由は、格差拡大が進む中で日経平均に採用されている企業が、いわゆる勝ち組ばかりだということだ。こうした企業の利益の拡大は経済全体の拡大のペースを上回るため、株価が上がっているのだ。

 それでは、日経平均はどこまで上がるのか。株価純資産倍率(PBR)という株式指標がある。一株当たり純資産の何倍の株価がついているのかという指標だ。東証一部でみると、今年2月のPBRは1.5倍となっている。先進国のPBRは平時で2倍弱だから、日経平均は、まだ割安ということになる。ちなみに、PBRが2倍になるのは日経平均が2万5000円のときだから、だいたいそれくらいが上昇の限度ということになる。つまり、それを超えたらバブルだと認識すればよいだろう。

 そのときに、どう対処すればよいのか。実は30年前のバブル経済のときにも、バブルに乗じて大儲けした人はたくさんいた。損をしたのはバブル崩壊の際に逃げ遅れた人たちだ。だから、これからの株式投資は、瞬時に逃げられる体勢を整えておくことが重要になる。例えば、ある時点の株価を基準に決めて、そこから2割とか3割下がったら迷うことなく売るという姿勢で投資に臨むことだ。「きっと値を戻すに違いない」と未練を持ち続けることが、大ヤケドにつながるのだ。
 これは、妄想で言っているのではない。実は30年前、私は日経平均に連動する投資信託に大金を投じていた。それをいつまでも持ち続けているうちに、結局、損切りの決断ができたときには3分の1以下に値下がりしていたのだ。

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