菜乃花 2018年10月04日号

プロ野球トライアウト密着取材 戦力外通告から這い上がる選手たち(3)

掲載日時 2015年11月28日 14時00分 [スポーツ] / 掲載号 2015年12月3日号

 前オリックスの榊原諒(30)が、一部メディアから“つらい質問”を浴びせられた。
 「新人王にも輝いたのに…」
 榊原はひと呼吸おいて、「もう過去のことです。ブルペンでは調子が良かったので、3人にしか投げられませんでしたが、やることはしっかりやれたと思います。(解雇されたので)フェニックスリーグにも行けませんでしたし、チームを離れて個人で練習してきました。室内の狭いところでしか練習できないが、キャッチボールとかランニングをしっかりやってきた。準備としては不十分だったかもしれませんが、チャンスをもらえることを信じて、戦力外通告後すぐトライアウトを受けると決めていた。'11年に肩を怪我したけど、それも良くなってきた」と答えた。

 つらい怪我であっても、野球人生の良き転機に変えることもできる。
 「今までは勢いだけで投げてきて、低めに投げていればなんとかなると思っていたんですね。だけど、怪我をして考え方を変えました。どういうボールを投げるべきなのか、どんなボールが自分に必要なのか、相手バッターの芯を外すにはどうすればいいのか…。そういうことを考えて自分自身のピッチングを変えて、コーチにも教えてもらい、肩の不安のない投球ができるようになった」

 オリックスは昨年オフ、大型補強を敢行したが、チームは機能せず、下位に低迷した。その立て直しを「待つこと」ができなかった。西村のように独立リーグで“再起のインターバル”を取る方法もあるが、榊原は首を振った。
 「僕には家族がいるんです。独身なら、独立リーグでも構いません。そのときは家族と相談して…」
 独立リーグの選手たちは月20万円程度の報酬しか保証されない。オフシーズンにアルバイトをしなければ暮らせない選手もいる。「野球を続けたい」と思う気持ちはどの選手も一緒だが、「NPBが第一希望」という切実な状況に追い込まれた選手も少なくなかった。

 「中断」のハプニングに見舞われた選手もいた。前阪神の藤原正典(27)だ。空模様は前日から危ぶまれていた。19組目、藤原が投げているときに雨足が強まり、一時中断となった。
 「自分は“持ってない”のかなと思いましたが、すぐに晴れて、内容も悪くなかった。気持ちで投げた」

 トライアウトの舞台が最後のユニホーム姿になる選手もいる。草薙球場に会場を移して以来、3年連続の雨となってしまった。今年はすぐに回復したが、「ベストコンディションで」と思う関係者は少なくない。
 今年から2回に分けていたトライアウトを一発勝負にしたのは「一方だけを受ける選手がいて、それをなくすためだ」とNPBは説明していた。雨天順延と改めたのは、選手の側に添った改定だった。

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