菜乃花 2018年10月04日号

フォルクスワーゲン排ガス不正問題その後 いまこそ国産ディ−ゼル車は買いだ!(1)

掲載日時 2015年11月04日 10時00分 [社会] / 掲載号 2015年11月12日号

 世界ナンバーワンの自動車メーカー、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)がディーゼルエンジン車の排ガス規制を不正に逃れていた問題は、発覚から1カ月以上が経った今も沈静化する気配はない。1100万台に上る不正にかかわる車のリコールの開始は年明けまでずれ込む見通しで、対応は後手に回っている。

 そもそもは9月18日、アメリカの環境保護庁が「VWのディーゼル車が排ガス規制をクリアするために不正なソフトを搭載していた」と発表したことに始まる。このニュースが流れるや「まさか、あのVWが不正を?」と世界中から驚きの声が上がった。
 何やら「排ガス規制」に「不正ソフト」など、われわれにはちょっと分かりづらい言葉が並んでいたが、今一度、簡単におさらいをしておこう。

 アメリカは環境問題には特に厳しいお国柄。それは自動車の排出ガスに対しても同じで、厳格な基準が設けられている。現在ではその厳しさは日本の基準をも上回り、世界一といわれている。一方、北米は自動車メーカーにとっては戦略的にも規模にしても重要な市場であり、その基準に合わせた車を生産しなければ大きな売り上げを期待できない。もちろん各メーカーはそれをクリアするために技術力を磨き、切磋琢磨しているのだが、VWは信じられないズルをした。
 「本来であれば環境基準の40倍にも上る窒素酸化物などを排出するエンジンなのですが、検査時にだけ自動で排ガスをコントロールできる不正なソフトウエアを搭載していたのです。具体的には車が『今、検査をしているな』と認識すると、基準値以上のガスを排出しないように自動で調整するわけです。当然、その結果はクリーンな物になりますから検査は合格となりますが、ひとたび公道を走り出せばその機能は解除されるので、後は基準値以上の排ガスがダダ漏れ状態になる。これを意図的に行っていたのですから、かなり悪質だと思います。VWは2008年以降、アメリカで販売したディーゼルエンジン車約48万台にこの違法ソフトを搭載し、検査逃れを続けていたのです」(自動車雑誌ライター)

 とまぁ、ここまでが今回VWがやらかした不正問題の概要。昨今、ディーゼルエンジンは『クリーンディーゼル』として世界的にも注目を浴びていただけに、このルール度外視のやりたい放題は、必死に技術開発に力を入れてきた他のメーカーからすればたまったものではない。

 この騒動でディーゼルエンジンにネガティブなイメージを持つ人が増えそうだが、そもそも日本ではディーゼル車に対するドライバーの関心度は低く、本誌が都内のサラリーマンに聞いたところ「最近クリーンディーゼルという名前は聞くけど、本当に燃費はいいの?」(55歳・会社員)という人や「ディーゼルってトラックやバスってイメージが強いですね。振動とかエンジン音がうるさそう」(50歳・自営業)などの声が多かった。
 実際、ディーゼルエンジンは悪者の代名詞だった。ガソリン車に比べてうるさく振動もひどい。後ろについてしまったときには、前車がアクセルを吹かすたびに黒煙が降り掛かってきたという経験をした人も多いのでは? 「ディーゼルエンジンは大気汚染の元凶だ!」と記者会見で大きな声を上げた石原慎太郎都知事(1999年当時)の姿もマイナスイメージに拍車を掛けた。

 しかし、それはすっかり過去のこと。今や各自動車メーカーが『クリーンディーゼル』の技術開発にしのぎを削っていて、もはや黒煙を撒き散らすような車は存在しない。また、振動すらもガソリン車とほぼ変わらないレベルにまで達している。日本の市場でも年々、クリーンディーゼルの販売台数が増加しているのだ。
 「'90年に約27万台あったディーゼル車ですが、'06年には743台と大きく減少しました。しかしその後は増加に転じ、昨年の'14年は7万9565台になりました。本年度は1〜8月までで、すでに昨年同期の2倍を超え、10万5000台を販売しています。年末にかけてはVWの問題などを受けて一時的な影響はあるかもしれませんが、それでも順調に推移していくと見ています」(クリーンディーゼル普及促進協議会)

 ところでディーゼルエンジン車は、世界中で一体どのくらいのシェアがあるのだろうか。日本ではエコカーというとプリウスなどのハイブリッドカーがおなじみだが、諸外国では少々状況が異なり、エコイメージはクリーンディーゼルが担っている。
 「今回不正問題が発覚したアメリカでは、総新車登録台数に占めるディーゼル車の割合は1%程度とまだまだ少数です。ところが欧州ではディーゼル車が大きなシェアを占めていて、普及率も高い状況です。高水準なのはドイツ、フランス、イタリア、スペイン、イギリスで、現在では乗用車に限れば新車の約3分の2がディーゼル車になります。アジアに目を向けると、インドはディーゼル世界市場の15%を占める世界第2位の規模を誇っています。お隣の韓国では30%がディーゼル車ですね。中国は環境問題にはまだまだ意識が低く、ディーゼル車のシェアはわずか1%。しかし、近年は新しい排ガス規制が定められ、今後需要は高まっていくと思われます。おおむねディーゼルは欧州においてはベーシックなエンジンと言っていいでしょう。VWがアメリカに不正を働いてまでディーゼルエンジンを投入したのは、市場規模の小さい今のうちに一気にシェア拡大を狙っていくという思惑があったからでしょうね」(前出・ライター)

 不正は言語道断だが、逆境に立たされている今こそ、この環境にやさしいエンジンをあらためて見直すべきだろう。

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