菜乃花 2018年10月04日号

『ツルハ』の杏林堂買収で突入 ドラッグストア業界戦国時代

掲載日時 2017年09月27日 15時00分 [社会] / 掲載号 2017年10月5日号

 ドラッグストアのツルハHD(本社=北海道札幌市)が9月、同業で静岡県を地盤とする杏林堂HDを子会社化すると発表し、業界に衝撃をもたらした。
 「背景には、ドラッグストア業界の激しいサバイバル競争があります。ツルハは約231億円で杏林堂グループ株式の過半数を取得。これにより、ツルハの連結売上高は約6000億円となり、最大手のウエルシアHD(本社=東京都千代田区)を抜き、業界首位に躍り出る見通しです。杏林堂自体の名称は残すが、両社は今後、自社ブランド商品の開発、仕入れなどを共同で行い、業界トップを不動にする狙いがある」(業界アナリスト)

 ドラッグストア業界は、昨年、エポックメーキング的な年になった。
 「22年間にわたり売上高で業界トップだったマツモトキヨシHD(本社=千葉県松戸市)、いわゆるマツキヨが、'16年度の売上高で3位に転落したのです。マツキヨではこの結果の理由を、骨太の企業体質にするため体質改善を優先したためと述べている。'16年度には約90店舗を閉鎖、50店舗を改装。約100店舗を新しく出店しましたが、その影響で業界首位だった売上高が5351億円と、前年より0.2%減少したのです」

 マツキヨに代わって首位に躍り出たのが、大手スーパー、イオングループのウエルシアHDで、'16年度の売上高は前年度比18%増の6231億円。ツルハHDも同年度の売上高は前年度比9%増の5770億円で2位だった。これが今回の動きで、逆転すると見られている。
 また、マツキヨの3位も安泰とは言えない状況だ。
 「東京府中市に本社を置き急ピッチで全国展開をしているサンドラッググループが、'16年度の売上高5283億円でマツキヨに肉薄。それに続く福岡県福岡市に本社を置くコスモス薬品グループも同5027億円。まさに群雄割拠の状態なのです」(関係者)

 一時的にトップに立っていたウエルシアは、相次ぐ買収で業績を伸ばしてきた。
 「今でこそ業界トップクラスのウエルシアですが、3年前まで売上高は2000億円にも達しなかった。それが、神奈川が拠点のCFSコーポレーション、京都中心のシミズ薬品などを次々に買収したことで売上を急上昇させたのです。そのため今回、ツルハも負けじと同業他社と組んだという流れです」(同)

 しかし、小売業界の有力企業のイオンが、なぜドラッグストアに力を入れるのか。前出の経営アナリストはこう分析する。
 「日本チェーンドラッグストア協会の調べでは、'16年度のドラッグストアの売上高は6兆4916億円で、対前年比5.9%も伸びました。背景には、高齢化による健康志向の強まりで、サプリメントや予防薬品を購入する人が急増してることが挙げられます。団塊世代が75歳を迎える'25年度に向け、さらにドラッグストア業界は伸び、2020年台には10兆円にまで膨らむと見込まれているのです」
 しかも、粗利も高い。市場の伸び率と粗利率で、イオンにすればビジネスチャンスと見たのだろう。

 そのドラッグストアの中でも、今後、特に伸びそうな分野とされているのが、ストア内の調剤部門だ。ウエルシアでは調剤部門で1000億円を突破、全体の売上の15%前後を占めるまでに成長している。
 「実は最近、医療施設の近くの薬局ではなく、ドラッグストア内の調剤薬局に行く人が急増している。高齢者などはドラッグストアの調剤薬局に行ったついでに、食料品、日用品などが一度に買い揃えられ便利だからです。加えて、営業時間も調剤薬局より長いので、勤め帰りのサラリーマンなども利用しやすい。そのため各ドラッグストアは、調剤薬局のコーナー設置に積極的です」(同)

 その割合は、ツルハやウエルシアでは全店舗の6〜7割に達している。
 「マツキヨが売上高で3位に転落した理由も、調剤薬局コーナーの設置比率が約2割弱と、他のドラッグストアと比較して弱いためとも言われています。大都市店舗が多いマツキヨは、調剤薬局を設置するスペースが取れず、出遅れたという指摘もあります」(同)

 だが、ドラッグストアの草分け的存在のマツキヨだけに、このまま負け続けているわけにはいかない。
 「マツキヨ人気に火が点いた当初のきっかけは化粧品。そこで、原点を見つめなおす意味で、健康プラス美容のヘルスケアショップ『マツキヨラボ』や、働く女性がターゲットの『ビューティーユー』をオープンさせ、新たな客層の発掘に力を入れ、巻き返しをはかろうと躍起です」(同)

 将来の市場規模の拡大を見据え、ますます拮抗しそうなドラッグストア業界。戦国時代の中、生き残るのはどこか。

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