葉加瀬マイ 2018年11月29日号

遺品整理士が見た! 激増する独居老人の孤独死(1)

掲載日時 2016年07月27日 10時00分 [社会] / 掲載号 2016年8月4日号

 2010年の国勢調査で「一人暮らし」が全世帯に占める割合が32.4%と「夫婦と子どもからなる世帯」(27.9%)を初めて上回った。その中で高齢者に目を移すと、'14年の高齢化率26.0%は、10年後の'25年には30%超となり、45年後の'60年には約40%に達すると国は予測する。つまり一人暮らしの高齢者は確実に増えていき、近代日本史上、経験のないステージにわれわれは足を踏み入れていくのだ。
 老後を取り巻く問題は数多くある。「老後破産」に「下流老人」という経済問題から「買い物・住宅難民」「終活」という生活環境問題しかり。「終活」をせずに逝った場合、遺族に浮上するのが「実家の後片付け」だ。親の遺品整理や空き家対策など、老親と離れて暮らす人には避けて通れない深刻な問題である。

 今年4月『カツオが磯野家を片付ける日 後悔しない「親の家」片付け入門』という新書が発売され話題になった。
 波平が亡くなり、一人残された“何でも簡単には捨てられない性分”のフネによってゴミ屋敷と化した実家を、長男カツオが片付ける。そんな様子をシミュレーションしたもので、ファイナンシャル・プランナー、不動産屋、遺品整理業者など専門家のアドバイスが掲載されている。今、実家の後始末は『サザエさん』のごとく“国民的”な課題となっているのだ。

 実は故人の遺品の中には、見なければよかったというものが結構あるという。
 「こんな趣味があったなんて…。家族が仰天したのは、亡きご主人に“女装趣味”があったことが分かったときでした。夫人から『誰にも見つからないように処分してください』と念を押されたのです。受けられたショックは相当なものでした」(遺品整理業者)

 老後の問題に戻ろう。カツオのような頼もしい長男がいて一緒に暮らしてくれればいいが、高齢者住居問題の現実は厳しく、実際は高齢者だと賃貸されないことが多い。血縁者の保証人は必須で身寄りがないと門前払い。公営住宅やシルバーピアなども生活保護か、あるいは某宗教団体に入信して系列政党の支援を受けないと全く順番が回ってこない。
 その結果、高齢者が賃貸住宅に入居できないことが問題になり、これまで「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」の建設がURや民間で進められた。
 ところが「サ高住」は、単身高齢者家賃相場の2倍以上の家賃が必要になり、普通の高齢者には高根の花だ。

 次にコンビニ問題である。コンビニは日常の買い物だけでなく、預金の出し入れからマイナンバーを用いた行政手続き、さらには防犯や防災まで数多くの生活機能を提供してくれる。しかし、そもそも自宅から徒歩圏内になければ、いかに便利であろうと活用することはできない。そんな徒歩によるコンビニへのアクセスに不便を感じる“コンビニ難民”が、実に全高齢者の6割に達するという報告もある。
 このように高齢者を阻む住まいや生活での見えない壁は高く険しい。

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