菜乃花 2018年10月04日号

「謎の中国人に精液を搾取された…」拉致強姦魔が主張した奇妙な“陰謀説”(3)

掲載日時 2016年05月09日 21時00分 [事件] / 掲載号 2016年5月12・19日合併号

 小川の話では、繁華街で中国人の男に「いい仕事がある」と声を掛けられた。一緒に雑居ビルのスナックに入ったところ、出された酒を飲まされた途端、前後不覚に陥った。次に気付いたときは全裸でベッドにくくり付けられていた。
 「あなた、小川洋司さんだね。トボけたってムダだ。あなたのことは全部知ってるよ。あなた、覚醒剤で捕まったとき、私たちの仲間のことをペラペラしゃべったね。それで私たち、大変迷惑しているんだよ」
 その男は中国製の鋭利な刃物のような武器を突き付け、「私たちの仲間になるか、今ここで死ぬか、どっちか選べ」と迫ってきた。
 「仲間になるよ、なるなるなるっ!」
 すると、チャイナ服を着た女が現れ、媚薬のようなものを塗られ、何度も手コキで射精させられた。
 「あなたが裏切ったらあらゆる犯罪現場にこの精子がバラまかれることになるからね。今や日本の犯罪捜査でDNA鑑定の信用性は絶対だ。あなたみたいに前科がある人間の言うことを警察は信用しないから」

 それ以来、自宅の郵便ポストに紙片が投げ込まれ、奇妙な指示を受けるようになった。
 「あるときは送られてきた郵便物を指定のあった場所に運び、またあるときは、車の中で女を見張るだけのこともあった。さらに、ATMで金を引き出したり、夜逃げの手伝いをさせられたこともあった。報酬は1回2万円。自分が何をさせられているのか分からなかったが、ヤバイことに片足を突っ込んでいることだけは分かった」

 その後、小川のマンションに詐欺の被害者だという人物が訪ねて来たり、人相の悪い男たちが玄関ドアをたたき壊そうとする“事件”もあった。
 小川は恐ろしくなり、交際相手ができたことから、その女性のアパートに逃げ込んだ。ところがその途端、今回の事件が起きた。小川は「これは陰謀だ。自分はやっていない」と訴えた。
 「きっと犯人はオレの精液をチ○ポや指に塗って、被害者の膣に押し付けたに違いない。オレの毛髪1本、車に残ってないなんておかしいでしょう?」

 確かに不思議な事件だが、被害者の松永留美子さんは逮捕後の面通しで、小川を見るなり、「この男です」と断定した。小川には事件当日のアリバイもなかった。
 「信じて下さい。オレはやってない。オレの精液のみが犯行に使われたんです。犯人は別にいます」

 だが、裁判所は「被告人が犯人である」と断定し、懲役7年を言い渡した。
 「被害者が一貫して主張する犯人の特徴と被告人の特徴は一致しており、本件以外に被害者の膣付近に被告人の精液が付着する機会はない。犯人は片手で携帯電話を持ち、もう一方の手で足を持ち上げ、陰茎を膣付近に押し付けたと考えられるが、その際に他人の精液を陰茎の先端に塗るなど極めて不自然で不合理。被告人の主張は信用できない」

 あれほど粘り強く主張していたのに、小川は判決が下されるや控訴することなく服役した。そういえば、警察へのタレコミも壮大な作り話の一つだったのだろうか。
(文中の登場人物はすべて仮名です)

関連タグ:男と女の性犯罪実録調書

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