彩川ひなの 2018年7月5日号

お互いに“秘密”を抱えたまま出会い系で知り合ってしまった男と女(1)

掲載日時 2018年02月24日 23時00分 [事件] / 掲載号 2018年3月1日号

お互いに“秘密”を抱えたまま出会い系で知り合ってしまった男と女(1)

 14年前の出来事である。
 「知り合いの男が『人を刺した』と電話してきた」という内容の110番通報が入った。管轄の警察署員が急行すると、現場の町営住宅の一室で被害者の高田翔子さん(19)が血を流して倒れていた。翔子さんは病院に運ばれたが、首など数カ所を刺されて死亡していた。
 警察は、当時19歳10カ月だった交際相手の中須敦志(34)を殺人容疑で逮捕した。中須は「復縁を迫ったが、断られたので腹が立ち、首や胸を包丁で刺した」と供述した。
 中須と翔子さんの交際歴は長く、中須は17歳のときにも同じようなトラブルから翔子さんを刃物で刺し、少年院に行っていた時期もあった。その後、2人は復縁したが、再び別れ話となって、あくまで「別れる」と言って聞かない翔子さんに対して頭に血が昇り、カッとなって刺し殺したという事件だった。

 裁判所は「自分を抑えることができない性格で、首を数回切り裂くなど残虐で執拗な犯行だ」と断罪し、懲役12年を言い渡した。
 中須は刑務所内でも、二度にわたって受刑者同士のトラブルから傷害事件を起こし、それぞれ懲役8月、懲役10月の判決を受けた。その分の服役が加算され、ようやくシャバに戻ってきたときには14年もの月日が経っていた。
 中須は己のしでかした罪の重さを実感するとともに、前科者に対して厳しい就職状況に直面した。

 「何でオレはあんなことをしたんだろう…」
 出所してからも、中須の心の中から翔子さんのことが消えることはなかった。親や友人が周りにいても、常に寂しさが付きまとう。翔子さんの代わりをしてくれる女性をずっと探していた。そんなときに出会い系サイトで知り合ったのが東聡美さん(48)だった。
 聡美さんとは年齢が離れていたので、最初は恋愛感情などなかった。だが、2人の子供を連れて離婚し、「毎日不安で、寂しい生活を送っている」という話には共感できた。
 「オレも同じです。寂しいんですよ。人のぬくもりが恋しいというか…」
 「私もなのよ。ねー、ねー、いっぺん会いましょう。こんなオバさんじゃイヤかもしれないけど…」

 いざ会ってみると、聡美さんは10歳ぐらいは若く見える美熟女だった。中須と聡美さんは会ったその日に肉体関係を持った。それからも聡美さんとは会うたびにセックスを重ねた。
 「あなたのことは本気よ。あなたの子供が欲しい。だから、避妊はしないで!」
 男として、これほど心を揺さぶられる言葉はない。中須は本気で聡美さんとの結婚を考えるようになり、「自分も仕事を見つけて、子供を養える力を付けなくては…」といっそう熱心に就職活動をするようになった。その結果、「車の免許さえ取ったら採用してもいい」という配送会社が現れた。中須はいい事ついでに、聡美さんのことを母親に話した。すると母親はあきれた口調で言った。
 「そんなの遊ばれてるに決まってる。いい? 女は40すぎたら妊娠自体が難しいの。45すぎてデキたら、もう奇跡よ。それを分かってて、『中で出して』って言っている。女狐だね」
 「そんな言い方するな!」
 中須と母親は大ゲンカになった。ただ、不思議なこともあった。「子供がいるから」と夜は電話しても出ないことが多い。「他に男がいるのか?」と聞くと、「私が信じられないの?」とムキになって怒るのだ。

 だが、中須も同じようなものだった。偽名を名乗り、住所も教えなかった。前科がバレると困るからだ。
 それに不信感を持ったのは聡美さんの方だった。交際してから1カ月後、別れ話を切り出した。だが、聡美さんも“秘密”を抱えていた。内縁の夫がおり、今も同居していることだ。
 聡美さんはその男と別れたがっており、新しい人生をやり直そうと出会い系サイトで相手を探していた。聡美さんもそのことを隠して中須と付き合っていた。
 「やっぱり他に男がいるんだろう?」
 「違うわよ。あなたの正体不明ぶりが怖くなったの。結婚の約束をしているのに、親にも会わせないなんてどういうつもり?」
 「そ、それは…」

関連タグ:男と女の性犯罪実録調書

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