菜乃花 2018年10月04日号

全国に波及 危険! データ偽装マンションがあなたの家の隣に建っている

掲載日時 2015年10月26日 10時00分 [社会] / 掲載号 2015年11月5日号

 各局のテレビクルーが入れ代わり立ち代わり訪れる『パークシティLaLa横浜』(横浜市都筑区:総戸数705戸)は、今や横浜の“新名所”と化してしまった。
 このマンションは、全4棟のうち1棟で施工時に杭が固い地盤(支持層)まで届いていなかった上、検査データの改ざんだけでなく、16日にはコンクリート量に関する改ざんも他棟で明らかになった。デベロッパーは三井不動産グループの住宅分譲会社、三井不動産レジデンシャル。マンション供給戸数ランキング全国4位('14年)の一流ブランドだ。施工主は三井住友建設で、同社下請けの旭化成建材は、虚偽データを使って基礎工事(杭打ち)をしたことを認めた。
 「旭化成建材の前田富弘社長は、居住者への説明会で『ほぼ1人の担当者がミスではなく故意でやった』と驚くべき事実を明かす一方、親会社の旭化成は、杭打ちデータの改ざんを含め全体で473本ある杭のうち70本で計83件の不正があったと居住者に陳謝しました。旭化成建材はこの10年の間に全国で約3000棟のマンションの施工を請け負っており、10月中にそのリストが明らかになる。パニックになるでしょうね。せっかく鬼怒川の堤防決壊でヘーベルハウス(旭化成ホームズ)の頑丈さが絶賛されたのに、この一件で当然のように旭化成の株価も急落しています」(経済記者)

 しかし、今回の不正・改ざんを招いた元凶は、“重層下請け構造”の各層でコストダウンとは名ばかりのピンハネが常態化していることだ。
 「安倍政権の打ち出した国土強靱化計画や東京五輪関連の建設ラッシュ、東北地方の復興需要で、高層ビルやマンションの建設現場は必要な要員を確保できず、竣工予定を2〜3カ月延ばす物件も出てきている。この場合、施工主やその下請けは、デベロッパーに違約金を払わなくてはなりません。それを避けるために手抜きが起きている懸念が現在進行中なのです。こうした問題の根底には、政府の公共事業削減策によって、建設業界がさまざまな要員をリストラした結果、鉄筋工や型枠工、配管・配線工、塗装工などの技能労働者の不足が生じたことは見逃せません。'97年に455万人いた技能労働者の数は、'12年には335万人まで減少しており、またこうした職種は、一人前になるまでに10年はかかるといわれている。つまり技能不足の要員が携わった手抜きマンションやビルが、日本全国至る所に建っているかもしれないのです」(建設専門紙記者)

 実際、昨年には三菱地所レジデンスの億ション『グラン南青山高樹町』で、契約者への引き渡し直前にスリーブ(水道管などを設置するための貫通孔)が開いていなかったという不具合が見つかり、施工主である鹿島建設が建て替え費用を負っている。すでに居住者が地域に根を下ろしていた『パークシティLaLa横浜』と違い、居住前だったので、購入者にとっては被害が少なく済み、不幸中の幸いだったといえた。

 今回の件は、果たしてどうなるのか。事業主である三井不動産レジデンシャルの藤林清隆社長は全棟建て替えの方針を表明しているが、仮にそうなれば三菱地所レジデンスのケースと同様、レジデンシャルが三井住友建設に損害賠償を請求し、三井住友建設は旭化成建材に損害賠償請求すると思われる。不動産トラブルに詳しい専門家は次のように語る。
 「'05年に発覚した耐震偽装の『姉歯事件』をきっかけに消費者は“安かろう悪かろう”に気付き、ブランド信仰が復活しましたが、これは正解です。『パークシティLaLa横浜』居住者が、売却や買い替えを考えていた場合を想定してみましょう。同物件は築8年、JR横浜線鴨居駅から徒歩11分、商業施設『ららぽーと』に併設されているとはいえ、横浜駅まで最短で20分という立地からして、下手をすると売却価格は購入額の半額以下でしょう。それが建て替えられて新築となり、引っ越し代や完成までの賃貸家賃も付いてきますから、居住者で金銭的な実害を被る人はほとんどいないと思います。確かに精神的苦痛や通勤、通学の環境が変わるという問題はありますが、建て替え終了直後に売却すればもうかる可能性もあり、もっと良い物件に引っ越しできるかもしれません。そうなれば、旭化成サマサマです」

 なぜそうなるのか驚くばかりだが、専門家はその理由を続けてこう言う。
 「それは『三井』という“保証付き物件”を購入したからです。三井不動産レジデンシャル、三井住友建設、旭化成建材の中に1社でも損害賠償請求に耐えられない会社が入っていたら、こうはなりません。三菱地所の欠陥マンションのケースを見ても鹿島、関電工が施工主、2次下請けでしたから建て替えられたのです」

 マンション購入には、見えない部分に不正や手抜きがあるかもしれないというリスクを伴う。購入時に迷うのは、財閥系の“保証付き”高額マンションを買うか、無名デベロッパーの格安マンションにするかの、乱暴に言えば「丁か半か」。とはいえ現実には“保証”まで買えない層が多いわけで、結局、世の中は金持ちが損をしないように回っているということになる。
 庶民にはトホホな話だ。

関連タグ:マンション傾斜・偽装問題

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