菜乃花 2018年10月04日号

話題の1冊 著者インタビュー 山平重樹 『実録 異端者たちの最期』 徳間書店 1,200円(本体価格)

掲載日時 2016年04月17日 18時00分 [エンタメ] / 掲載号 2016年4月21日号

 −−本書では思想家、ヤクザ、国会議員、芸能人など各界のそうそうたる人物の最期が語られています。なぜ、これらを書こうと思ったのですか?

 山平 本書で語られる人々は、生き方こそ皆それぞれですが、誰もが波瀾の人生を送っています。革命を目指して果てたもの、志半ばに殺害されてしまったもの、己の信念を貫くために自決したものなど、どれも激烈でドラマチックな生と死を経た男たちです。私は“死に様=生き様”だと思っているんです。どんなに立派な人生を送ってきても、最期の死に様がぶざまであれば「?」が付いてしまう。そういった意味では、本書に登場する人物は皆、見事な最期を遂げた方が多い。私自身、とてもじゃないが彼らのような死に方はできないと思います。だからこそ、一種の憧れというか尊敬の念が生まれるのです。

 −−特に印象深い人物は誰ですか?

 山平 平成5年10月20日、東京・築地の朝日新聞東京本社15階の役員応接室にて拳銃自決した野村秋介は、忘れられませんね。自身が代表をつとめた『風の会』に端を発した週刊朝日報道の一件は、マスコミをターゲットにした野村の最後の闘争と化し、その最期は2丁拳銃を取り出し、朝日役員の前で自らの胸を撃ち抜くという壮絶なものでした。自分の命を引き換えにしても尚、信念を貫く姿勢に打たれたし、浪漫を感じましたね。また、対極的に、今では忘れられつつある人物ですが、映画評論家の斎藤竜鳳は私が偏愛する人物の一人です。革命を夢見、女と薬に明け暮れた無頼派左翼。当時、あまり批評されることのなかったヤクザ映画をこよなく愛し、論陣を張った人でした。中村錦之助の『遊侠一匹』の主題歌の一節「なにが粋かよ」は、竜鳳の何よりのお気に入りの言葉でね。その破滅的な最期にも強く魅かれるものがあるんですよ。

 −−一人の人間の死が人々に大きな影響を与えることもあるんですね。

 山平 私が人生において最初に衝撃を受けたのは、三島由紀夫の割腹自決でした。戦後豊かになった日本で、なぜ自身の信念を元にこのような行動をとるのか。まさに自分の中の原点となった出来事でした。当時、学生の間で起こった新左翼運動も、そのほとんどは半ばファッション感覚でした。しかし、三島の自決は彼らにも大きな影響を与えたと思います。連合赤軍やテルアビブ空港襲撃事件、自決用の青酸カリを服んだ連続企業爆破グループの“狼”など、本当に命を懸ける連中も出てきましたから。
(聞き手/程原ケン)

山平重樹(やまだいら しげき)
1953年生まれ。法政大学卒業後、フリーライターとして活躍。著書に、ベストセラーとなった『ヤクザに学ぶ』シリーズほか多数。

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