菜乃花 2018年10月04日号

話題の1冊 著者インタビュー 前田亮一 『今を生き抜くための70年代オカルト』 光文社新書 820円(本体価格)

掲載日時 2016年02月28日 18時00分 [エンタメ] / 掲載号 2016年3月3日号

 −−昭和の時代にはUFOや超能力など数々のオカルトが流行しました。一番興味深かったものは何ですか?

 前田 やはりUFOと宇宙人ですね。僕は1965年(昭和40年)生まれ。モノクロテレビで『ウルトラセブン』を見て、ブラウン管の中に現れる宇宙人に、幽霊よりもリアリティーを感じて身震いしました。その後、実際のUFO目撃例や宇宙人と会ったと主張する人たちがいることを知って、夢中になりました。70年代のオカルトブームは、カラーテレビの普及とともに起こった社会現象でしたが、それでも日本でUFOという言葉が定着するのは、'77年リリースのピンク・レディーの同名の曲から。同年にアメリカでは、政府が国民に内緒で宇宙人と接する陰謀論的な映画『未知との遭遇』が公開されていたわけですから、日本は遅れていましたね(笑)。

 −−五島勉『ノストラダムスの大予言』は大ブームとなりました。あの“人類滅亡”という予言解釈とは、何だったのでしょうか?

 前田 大きく二つのことがあります。一つはその本が出版された'73年は、オイルショックや公害、米ソの冷戦など、人々を取り巻く社会情勢が不安定な時期だったことです。本当に第三次世界大戦が起きるのではないか? そんな背景から、やがてやってくる'99年の人類滅亡にリアリティーを感じたんです。もう一つは、'89年にベルリンの壁が崩壊し、米ソ核戦争の危機は遠のいたのに、'95年にオウム真理教による地下鉄サリン事件が起こった。もっとも世界的には、ミレニアムへのカウントダウンでお祭り騒ぎだったわけですけど。そして'01年に9・11テロが起こると、海外でノストラダムスのブームが再燃します。テロ時代の到来を日本は先取りしてしまったともいえます。それもオカルトを通して見えてくる社会の大きな変化ですよね。

 −−現在、SNSなどを介してオカルトが再燃しているといいます。その特徴とは?

 前田 マスメディアによってけん引されてきたオカルトブームは、「ある・ない」といった単純化された論争が付きまとってきました。しかし、ネットの時代には「何を信じ、何を探求するか」は、個人が自由に選んでいいと思っています。さらには、世の中の不思議な事象を楽しもうというエンターテインメントとしてのオカルトもいいですが、21世紀の先行き不透明な世の中を生き抜くためには、オカルトというジャンルに縛られることなく、自由にイマジネーションを羽ばたかせてほしいですね。
(聞き手:程原ケン)

前田亮一(まえだ りょういち)
1965年東京都生まれ。千葉大学工学部卒業後、白夜書房を経てフリーランスに。ケロッピー前田のペンネームで世界のアンダーグラウンドカルチャーを取材。海外情報の収集能力を駆使した執筆を展開している。

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