葉加瀬マイ 2018年11月29日号

高島屋はロボット販売開始 百貨店が生き残りをかけるあの手この手

掲載日時 2017年10月23日 14時00分 [社会] / 掲載号 2017年10月26日号

 大手老舗百貨店の高島屋(本社=大阪市)が10月4日、“ロボット”を専門に取り扱う売り場『ロボティクススタジオ』を新宿店にオープンさせた。もちろん、ロボット専門売り場は百貨店業界初のこと。
 高島屋が扱うロボットは、英会話ができたりAI(人工知能)搭載のもの、衣類を自動で折り畳めるものなど数万円から数百万円のものまで22種類。状況を見ながらさらに種類を増やすというが、そもそもロボット売り場の発想はどこから来たのか。

 高島屋広報担当者がその意図をこう説明する。
 「昨年の催事でロボット展を行ったところ好評で、購入相談なども受け、各メーカーからは流通ルートがないとの相談も受けました。そこで検討した結果、すでに介護や生活の中に入りつつあるロボットは、近い将来、スマホ同様の役割になるという結論に達したのです。現状、ネットなどでの購入は可能ですが、使用方法やアフターケアを含めれば、それを百貨店が担えるということで、常設を決定したのです」

 高島屋では、年間3000万円の売り上げを目指すという強気の構え。こうした百貨店での意外なロボット販売などの動きを、経営コンサルタントはこう分析する。
 「主に婦人服を中心とした衣料品をメーンに売り上げを伸ばしてきましたが、客離れが加速しているのです。また、強かった食料品でも、スーパーや専門店の躍進で、こちらも伸び悩んでいる。新しいコンテンツを入れ込んでいかなければ、先細りしていくのは確実な状況です」

 10月2日に発表された大手百貨店5社の9月の売り上げについては、高島屋は8.3%増、大丸松坂屋百貨店7%増、三越伊勢丹7.3%増、阪急阪神百貨店9.4%増、そごう・西武3.5%増と、揃って伸びている。要因は今夏後半、例年より気温が下がったために秋冬向けの衣料品の出足が好調であることと、外国人観光客による化粧品や高級腕時計、宝飾品の購入によるところが大きい。
 しかし、業界ウオッチャーはこう指摘する。
 「直近の好調は一時的なもので、構造的な不況は変わっていない。その証拠に、'16年から'17年にかけ全国で10店舗以上の百貨店が閉店に追い込まれている。9月末も、低迷のため自治体の支援を仰ごうとした伊勢丹松戸店が、結局は市議会の反発を受けとん挫し、来年春の撤退を決めた。バブル期を頂点に全国300店舗以上あったものが、今や200店舗そこそこで、200を割り込むのは必至。昨年の全国百貨店売上高も、36年ぶりに6兆円を割り込んでいる。確かに、売り上げを支えてきたアパレルの不調もありますが、“百貨店でしか買えない”というオリジナルなものがなくなりつつあることも大きいのではないか」
 例えば、家電や家具分野では、アパレルより一足早く百貨店離れして、専門店が百貨店並みの売り場を確保し、消費者を奪っていった。その典型が、'09年に三越池袋店が閉鎖した跡地にヤマダ電機がオープンした「LABI1日本総本店」に象徴される。

 そんな中、百貨店の優等生と言われた三越伊勢丹HDさえも、今年6月、経営不振の影響で社長退任の事態に迫られた。
 「“ミスター百貨店”とまで呼ばれた大西洋元社長でしたが、広島や松山、千葉、多摩センター店など、次々に閉鎖を余儀なくされるほどだった。多角化やリストラで危機回避に動いたが、社内から突き上げを受け辞任に追い込まれた。百貨店業界の苦境が現れた現象です」(業界関係者)

 しかし、このまま手をこまねいていては、まさにジリ貧。その生き残りをかけた戦略の一つが、高島屋のロボット販売というわけだ。
 大丸松坂屋の親会社であるJ.フロントリテイリングが今年4月、東京・銀座の松坂屋跡地を核に百貨店プラス賃貸業、文化施設などを併せ持つ複合施設『GINZA SIX』を立ち上げたのも、その一貫だ。
 「J.フロントの場合は、もはや百貨店だけでは生き残れないと、森ビルや住友商事などと手を組み不動産業も抱き合わせる新手法に出た。今秋にも、松坂屋上野店の南館を建て替えた地上23階建ての複合施設『上野フロンティアタワー』を開業、系列のパルコや映画館を入れて上層階は賃貸オフィスにする。こうした賃料収入を柱とする事業モデルは、'19年オープン予定の渋谷パルコでも進められています」(不動産コンサルタント業者)

 高島屋ではさらに、新宿、立川店で、大手家具販売のニトリを入店させるという。三越伊勢丹HDは、ショッピングセンターに積極的に出店し、フィリピンのマニラでは、野村不動産と合同会社を設立して住宅と商業施設を併せ持つ高層ビル建設を始める。
 縮小に歯止めをかけることができるのか。

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