葉加瀬マイ 2018年11月29日号

LiLICoオススメ「肉食シネマ」 ホームレスだった私と似てる人に会いました 『ホームレス ニューヨークと寝た男』

掲載日時 2017年02月05日 14時00分 [エンタメ] / 掲載号 2017年2月9日号

LiLICoオススメ「肉食シネマ」 ホームレスだった私と似てる人に会いました 『ホームレス ニューヨークと寝た男』

 お仕事お疲れ様です。
 今年に入ってから、とにかく時間が経つのが遅い。どうやら以前より丁寧かつ大事に生きている気がする。お正月にスウェーデンへ帰り、いろいろ考える時間ができたおかげだと思います。

 昔の私といえば、毎日が必死過ぎて、あまり覚えていないのが残念。それとも私の脳が、苦しい時代を排除しようとしているのか、ぽっかり空いたその記憶に焦ることも…。
 5年間、車の中で生活していた頃は、とにかく余裕がなかった。仕事をしたいけど、依頼は一つもない。夜は地方で、一晩に7軒くらいスナックへ飛び込みキャンペーン。いきなり“歌わせてください”とお願いしているわけで、もちろんギャラなんてない。お客様とデュエットして、運がよければチップがもらえたけど、車のガソリン代や高速代に消えた。呼ばれてもいない、誰も知らない歌手なんて見たくないのは当然。でも、あの時代にいろいろ言われて強くなりました。いや、強くなり過ぎた?
 今となれば、あの年月は私にとって財産。経験したくても、なかなかできないこと。それは、家がなくても夢があったから。これ以上、どん底はない。もう昇るのみ。その後、紆余曲折ありながらも、現在のバラエティーに出られるまでに23年掛かりました。

 こんな私に“似てる”人と、映画の中で会いました。ニューヨークでファッションフォトグラファーをしながらオーディション受けたり、その日その日の仕事をするマーク・レイ。52歳でかなりのハンサム。そして明るい! チョイ悪オヤジみたいにスーツを着こなす彼だけど、洗濯しているのは公衆便所。最高の写真を撮っても、お気に入りの人に差し上げるという優しさ。自由な人生に聞こえますが、寝るのは知り合いのアパートの屋上でブルーシートのようなものに包まりながら朝を迎える。
 でも、彼を見ると哀れというより、可能性に満ちていると感じました。才能はあるし、モテます。昔のモデル時代の写真を見てもかなりのイケメン。今はそれに味が加わり、さらに素敵に!

 ファッションモデルとして働いていた時代に出会ったトーマス・ビルテンゾーンが自ら監督を務め、今作を作ったというドキュメンタリー。音楽はクリント・イーストウッドの息子カイル・イーストウッドが担当。究極のミニマリストなのか、彼の生き様をぜひ見てください。

画像提供元:(C)2014 Schatzi Productions/Filmhaus Films. All rights reserved

■『ホームレス ニューヨークと寝た男』
監督/トーマス・ビルテンゾーン 出演/マーク・レイ 配給/ミモザフィルムズ1月28日(土) ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次ロードショー!
 身長188センチ、モデル兼ファッションフォトグラファーである52歳のマーク・レイ。アメリカのニューヨークで、ブランド物のスーツを着こなしている誰もがうらやむような容姿。しかし、華やかなパーティー会場を後に向かった寝床は、マンハッタンのペントハウスではなく、雑居ビル街にあるアパートメントの屋上。実はすでに6年間、家のない寝袋に包まる生活を続けているというホームレス状態。彼の荷物はスポーツ・ジムのロッカー4つ分に入っている。エクササイズで体を鍛え、ジムのシャワールームや公園のトイレで身だしなみを整える。家族や恋人も作らないマークの日常に3年間密着。

LiLiCo:映画コメンテーター。ストックホルム出身、スウェーデン人の父と日本人の母を持つ。18歳で来日、1989年から芸能活動をスタート。TBS「大様のブランチ」「水曜プレミア」、CX「ノンストップ」などにレギュラー出演。ほかにもラジオ、トークショー、声優などマルチに活躍中。

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