岸明日香 2018年12月20日号

パナソニックと連携提携で加速 トヨタのEV押しで始まるクルマ業界

掲載日時 2018年02月02日 14時00分 [社会] / 掲載号 2018年2月8日号

 これまで電動自動車への本格参入に慎重姿勢だったトヨタ自動車が、昨年末から電動化戦略を打ち出し、国内外の自動車関係業界に激震を与えている。

 12月18日、トヨタの寺師茂樹副社長は事業発表で、「バッテリーという最後のピースが埋まった」と力強く述べ、2030年までに電動化車両の生産台数の目標を550万台とした。
 「電動自動車と一口に言っても、大きく4パターンに分けられる。エンジンとモーターの両方を備えるハイブリッド車(HV)と、コンセントからバッテリーに直接充電できるプラグインハイブリッド車(PHV)、バッテリーと電機モーターのみで走る完全電気自動車(EV)、さらに発電に水素などを利用する燃料電池車(FCV)。トヨタは550万台のうち、100万台をEV、FCVにするとも発表したのです」(業界関係者)

 トヨタ自動車単体での世界販売台数は約900万台(2016年実績)であることから、そのうち実に50%以上を電動化するという。では、この動きに先駆け、世界の電動自動車の動向はどうなっているのか。

 まず、今や年間2800万台を販売する自動車大国となった中国は、昨年9月、環境対策の一環として国策で電動化への舵を切った。英仏も、'40年を目途にガソリン車とディーゼル車の新車販売を禁止すると打ち出し、ヨーロッパ各国のメーカーは一斉にEVへシフトし始めている。そうした中、大手でEV化を最も鮮明にしているのが、独・フォルクスワーゲン(VW)で、'25年までに50車種を投入する方針を掲げている。
 「VWは'15年、排出ガス不正が暴露され窮地に立ったが、中国でのダメージが少なかったために'16年は1017万台を販売し、トヨタを抜いて販売台数世界一となった。そのVWが大きくEVに舵を切ったのは、HVやガソリン車ではトヨタなどの日本車に勝てないからです。それは中国も同じで、欧米中が技術で日本を上回ることができないことを見越して、何とか逆転したいから。つまり、環境を盾に世界標準を変える戦略に出たとも言われているのです」(車雑誌記者)

 日本で、こうした向きをいち早く察知して動いたのが、仏ルノー系列の日産。'10年から販売を開始したEV『リーフ』は改良を重ね、航続時間400㎞で累計30万台に迫る勢い。一方で周回遅れの感があったトヨタだったのだが、今回の“電動化宣言”にメーカー各社がざわめいているという。
 「発表などからも分かるように、トヨタが二の足を踏んでいたのは、バッテリーの安全が確認できなかったからです。'09年に起きた大規模リコールのような事態は絶対に起こせない。見切り発車ができない中、パナソニックとの提携が見込めたことから、ようやく先に進むことができたとされます」(同)

 パナソニックは電動車バッテリーで、韓国のLG化学、サムスンSDI、中国のCATL、BYDと性能を争っている。量産の面では中国が急ピッチで伸びているが、技術のトップランナーはパナソニックというのが業界間での一般的な見方だという。
 「パナはテスラ社と提携し、車載電池の円筒型バッテリーを手掛け、2社で5000億円を投じアメリカに工場も立ち上げる一方で、'96年からトヨタともハイブリッドカーなどの電池製造会社を共同出資し協力もしている。その擦り合わせの継続から、今回のEVでのバッテリーの協業話が実った。目指すのは角型全個体電池の開発としていますが、パナとしては丸型に続き角型でも世界ナンバーワンを目指すという目論見もあります」(同)

 その車載電池で各社がしのぎを削るのは、安全性とコスト、そして重量だ。
 「現在、車載電池の主流はリチウム電池ですが、液漏れや発火の危険性など、液体電池特有の問題を抱える。それを固定電池にすれば安全性は格段に高まるが、エネルギーの出力量やコスト、量産体制を作り出すことが必要となる。トヨタはパナと組むことによって、これらすべてがクリアできると踏んだのです」(前出・業界関係者)

 トヨタには車載バッテリーを制したメーカーが次世代のEV戦争の勝者となる考え方だが、日産は逆で、NECと立ち上げていた蓄電池事業をすでに中国に売却している。
 「バッテリーはいずれ平準化し、どれも同じになるだろうというのが、会長のカルロス・ゴーン氏の表向きの考え。その開発コストをEVの他部門に投じ、中国などでの市場拡大を優先させる動きを見せてきた。しかし、トヨタに触発されたかどうかは分かりませんが、日産が'20年に向け全個体電池の開発に踏み切ったという話もある」(同)

 トヨタの動きで、EVを巡る車業界の動きは急転しそうだ。

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