菜乃花 2018年10月04日号

共同運航先送り ANAスカイマーク支援の大誤算

掲載日時 2016年02月10日 10時00分 [社会] / 掲載号 2016年2月18日号

 やっぱり、同床異夢だったのか−−。航空関係者が「不安、的中」とばかりに言い放った。昨年9月、全日本空輸(ANA)を傘下に持つANAホールディングスの支援で再建の途に就いたばかりのスカイマークと、そのANAの間に早くも亀裂が生じた。スカイマークが今年10月の冬ダイヤから始める予定だったANAとの共同運航(コードシェア)を先送りしたのだ。
 コードシェアとはANAがスカイマークの座席を3〜4割ほど買い取り、安定収入を確保することでスカイマークの再建を側面から支援する仕組み。本来ならば大歓迎のはずだが、なぜスカイマークは躊躇するのか。前出の航空関係者が打ち明ける。
 「ANAはコードシェアに際し、自社の予約システムを導入するよう求めている。すでに傘下に組み込んだエアドゥやソラシドエアなどが導入しており、スカイマークを例外にしない戦略です。ところがANAの予約システムを導入した場合、コードシェア便だけでなくスカイマークの予約情報がANAに筒抜けになり、詳細な経営情報までが読み取られかねません。まして予約システムの一体化はANAの軍門に下り続けることを意味し、将来の再上場を目指すスカイマークが簡単に飲めるわけがない。だからこそ自社システムに固執しているのです」

 たとえスカイマークが屈服したとしても、システムの準備には1年程度かかることが予想される。そのためコードシェアの実施そのものが「視界不良」(関係者)の状況なのだ。
 むろん、ANAホールディングス伊東信一郎会長-片野坂真哉社長コンビとて、支援に名乗り出た当初からスカイマークが徹底抗戦するだろうことは察しがついたはずである。それにもかかわらず、いち早く手を上げたのは「日本航空(JAL)対策」だったという点で関係者の見方は一致する。

 経営破綻し、一時国有化を経てV字回復を遂げたJALは、2016年度まで新規投資や路線開設が制限されている。JALが“眠れる獅子”を決め込んでいる間にナショナルフラッグの地位を確保し、そのステータスにふさわしい実績作りを狙ったANAがスカイマークへの影響力を強めることで「JAL、蹴散らし作戦」を敢行したと受け止められた。実際、ANAは貪欲だった。
 「スカイマークが持つ羽田空港の発着枠(1日36便)は国内線の“ドル箱”といわれ、これが他陣営に渡るのは“もってのほか”がANAの本音でした。そこで米イントレピッド=デルタ航空陣営と壮絶な争奪戦を演じた末にスカイマークを自陣に抱き込んだ。羽田枠の6割を押さえ込んだとあって、ANA首脳陣は鼻高々でした。しかしデルタ陣営が優位との観測を覆し、土壇場で逆転したのは、デルタ支援に傾いていた大口債権者のエアバス社を自陣に抱き込んだからなのです」(経済記者)

 関係者を絶句させたのが、その手法だ。スカイマークは欧州エアバスと大型航空機『A380』の売買契約を結んだが、経営不振から契約破棄を通告され、これを機に経営破綻に追い込まれた。
 「どうしてもスカイマークが欲しかった」(関係者)
 ANAは買い手がつかず、宙ぶらりん状態だったA380の購入をエアバスに打診、これに同社が飛びつき一気に形勢が逆転した。昨年8月のことである。
 そのA380は総2階建ての超大型機で、乗客数はレイアウト変更により最大853人と一般的な航空機の2倍もある。カタログ価格は1機約530億円。実際の売買価格はこれを多少下回るにせよ、ジャンボ機を凌駕する“空飛ぶホテル”とあって使いこなすのは容易ではない。よほど営業力がなければ宝の持ち腐れで、世界の航空会社からは敬遠されているのが実情。現にこの2年間は1機も発注されていない。

 そんなイワクつきのA380を3機購入したANAは、ハワイ路線に投入するという。
 「ハワイはJALのドル箱路線とあってANAが真っ向勝負を挑む図式です。その心構えはあっぱれですが、パイロットや整備士の育成費用などを加味すると3機では投資効果が見込めず、最低でも10機は必要との指摘もある。カタログ価格で計算すれば実に5300億円ものビッグマネーです。エアバスは含み笑いを抑えるのに必死。一方のANAはスカイマーク抱き込みのバカ高い代償をつかんだ格好です」(証券アナリスト)

 そこで目が離せないのが来年度以降のJAL戦略だ。スカイマークは以前から「JAL傘下での再生」が悲願だった。ANA(約20%)以外の株主がJALを“駆け込み寺”にすれば、ANAはエアバスに対する巨額の“負の遺産”を背負い込むことになる。
 ダボハゼ支援の吉凶の行方が、がぜん注目される。

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