菜乃花 2018年10月04日号

「オレも幸せな結婚をしたかった… 」女に飢えた通り魔男の惨めな落第人生(3)

掲載日時 2017年02月06日 23時00分 [事件] / 掲載号 2017年2月9日号

 出口は実家にも自分の居場所がないことを悟り、誰かを殺して刑務所に入ろうと決めた。100円ショップで包丁を買い、電車に乗って繁華街へ。そこでチューハイ缶を5本ほど買い、飲みながら歩き始めた。
 「何でこんな人生になっちゃったんだろう…。オレも好きな女と幸せな結婚をしたかった…」
 そんなことを考えながら歩いていると、自分と同世代の主婦らしき女性が自転車に乗って信号待ちしているのが目に止まった。
 「ちょうどいい。あいつを殺して死刑になろう」

 出口は被害者の中川淳子さん(46)に近付き、いきなり腰のあたりを包丁で刺した。淳子さんは何が起きたのか分からず、自転車ごと転倒した。見上げると、包丁を持った男がいたので通り魔に刺されたんだと気付き、「キャーッ!」と絶叫しながら近くのコンビニに逃げ込んだ。男はさらに刺そうと店内まで追い掛けて来たが、店員に制止されてすぐに出て行った。
 「殺し損ねた…。これじゃションベン刑になって、他の受刑者にナメられる。別の女を殺そう」

 次に目に付いたのが二番目の被害者である中村彰子さん(43)だった。自宅前の道路を歩いていると、後ろから小走りで来た男に羽交い締めにされ、いきなり腰のあたりを刺された。
 「ギャーッ!」
 彰子さんが倒れ込むと、男は馬乗りになり、腹にも包丁を刺してきた。
 「助けてーッ!」
 その悲鳴を聞いて近所の人が家から出てきた。彰子さんは男から逃れ、目前に迫った自宅に駆け込み、夫に助けを求めた。
 「あいつが犯人か。誰かあいつを捕まえてくれ!」

 騒ぎに気付いた近所の人が男を追い掛け、路上で取り押さえた。出口は彰子さんの夫にボコボコにされ、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。
 「自分は女性にモテない最悪な人間だと思い、幸せそうな女性を刺した。人を刺せば刑務所に行くことは分かっているが、刺さなければ家を追い出されてどこにも行く場所がなくなってしまう。自分は人生の落第生だし、彼女もいないし、仕事はできないし、幸せな人が許せなかった。死刑になっても構わないと思っていた。とりあえず刑務所に入れば、寝床と食事にありつけるので、今後の人生はそれから考えればいいだろうと思った」
 出口は3カ月間の鑑定留置が実施されたが、「刑事責任能力に問題はない」と診断され、2件の殺人未遂罪で起訴された。

 出口が犯行に及んだのは薬物による後遺症の影響もあったのだろうか。ともあれ、格差社会が進み「貧困が犯罪を生む」という戦前に見られた“常識”が、にわかに復活しつつある。
(文中の登場人物はすべて仮名です)

関連タグ:男と女の性犯罪実録調書

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