菜乃花 2018年10月04日号

大谷翔平「契約更新」で整った来季オフのメジャー移籍

掲載日時 2016年12月15日 16時00分 [スポーツ] / 掲載号 2016年12月22日号

 今季パ・リーグMVPに輝いた大谷翔平の口から、日米の球界関係者を驚かせる発言が飛び出した。去る11月26日、北海道旭川市内のホテルでファイターズ選手による「プレミアムトークライブ」が開かれた。そこで大谷は「人類最速まであと4キロなので、一番速い球を投げる人になってみたい」と笑顔で語り、来季、前人未到の「170キロ」に挑戦すると明らかにしたのだ。
 現在の世界最速は、レッズ時代の2010年と今年7月17日にヤンキースで、キューバ左腕のアロルディス・チャップマン投手(28)がマークした105マイル(約169キロ)。大谷は10月16日、ソフトバンクとのクライマックスシリーズ第5戦で、日本最速記録を更新する165キロをマークし、“あと4キロ”に迫っていた。

 ほんの数年前まで、日本球界では150キロ台後半を投げれば“豪速球投手”とされ、160キロなど別世界だった。その大きな壁を、いとも簡単に乗り越えてきた大谷だけに、メジャーリーグのスカウトたちもブラフとはとらえていない。
 「大谷が162キロを計測したのが一昨年の20歳のとき。それから肉体はさらに進化し、今季163、164と自己最速を更新し、165キロまで伸ばしました。それでも、本人は納得していない。さらに、トレーニングに励み、思い描くフォームが形になれば、あと4〜5キロなら上乗せできると考えています。実際、来春のキャンプ次第で記録が塗り替えられる可能性は十分あります。アドレナリンが出る大舞台になればなるほど球速が増すタイプの大谷が、世界最高峰のMLBのマウンドを望むのもそのためです」(日本ハムOBの野球解説者)

 もっとも、世界最速にこだわるのは、大谷が来オフにメジャー転身を想定しているからである。日程表に沿って、いかに自身の商品価値を高めるかに狙いを定めているのだ。
 楽天時代の田中将大は'13年、開幕から負けなしの24連勝というド派手なパフォーマンスをやってのけ、ヤンキースと7年1億5500万ドル(約161億円)の巨額契約に漕ぎつけた。しかし、まだフルシーズンをローテーション通り投げ抜いた実績のない大谷にはそれは無理。そこで、名刺代わりに「世界最速の170キロ」をと考えているというのだ。
 「大谷は、日本ハムの通訳で米国球界事情に詳しい野茂英雄氏の長男・野茂貴裕氏からたっぷり情報を得ています。エンターテインメント性を重視するMLBは二刀流にとどまらず、世界最速投手であることを願っていると。大谷にしても、170キロなら1年間フルスロットルでいる必要がなく、肩の負担が少なくて済む。それでいてアピール力は桁違い。今季の大リーグで165キロを超えたのはチャップマンとカブレラ(ブレーブス)だけ。今でさえ、大谷は世界のトップ3入りしているわけで、自身の記録を更新するだけでも評価は一段と上がる」(スポーツ紙デスク)

 それでなくとも今季の大谷は、パ・リーグMVPに初選出されるなど、評価は急上昇。投打で規定投球回数、規定打席数に及ばなかったものの、投手として10勝(4敗)、防御率1.86、174奪三振。打者としても打率3割2分2厘、22本塁打、67打点と自己最高をマーク。投手とDHで「Wベストナイン」という史上初の勲章を付け加えている。

 契約更改交渉は12月5日だった。現在の年俸から7000万円増の2億7000万円でサインした。しかし、大谷は金額にはさほどこだわらず、二刀流のもう一つの刀、「DHの定位置」を要望したという。
 大谷は今季、「1番・投手」として出場して初球先頭打者本塁打を放ったばかりか、夏場には4番中田翔(27)に代わって主砲を務め、最大11.5差あったソフトバンクとのゲーム差を逆転する原動力となった。それでもDHを「不動の座」とするには至っていない。

 大谷と親しい球界関係者によると、契約更改交渉では「先発登板は毎週日曜日、ウイークデーは先発でDH」を希望したという。
 DHの定位置が約束されれば、登板数が少なくとも、打撃は今季以上の飛躍が期待できる。夏場は今季のように登板を回避することで調整しつつ集中力を高め、「170キロ」にトライしようという青写真を描いている。

 そんな“手抜き”ができるのも、二刀流であればこそ。カネを稼ぐのは、メジャーに転身してからで十分で、今はいかに自分の価値を高めるかに集中している。
 これには日本ハムも大歓迎だ。なにせ10年ぶりの日本一を達成した今季、選手年俸が高騰することは必至。既に中田の3500万円増の2億8000万円プラス出来高を筆頭に、中継ぎ投手の谷元圭介とファウルで粘る打撃を持ち味とする中島卓也遊撃手が1億円に到達。増井浩俊、宮西尚生両投手、田中賢介内野手の2億円超プレーヤーの更改もあり、今季約27億(7位)だった選手総年俸が10億円近くはね上がると予想されている。もはやチーム最高クラスの年俸となった大谷をこのまま保有し続ける限界に到達している。

 大谷にとって170キロ達成は、最強のカードであるとともに、日本ハムへの置き土産でもある。

関連タグ:北海道日本ハムファイターズ 野球

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