葉加瀬マイ 2018年11月29日号

本好きリビドー(183)

掲載日時 2017年12月16日 15時00分 [エンタメ] / 掲載号 2017年12月21日号

本好きリビドー(183)

◎快楽の1冊
『永田町アホばか列伝』 足立康史 悟空出版 1200円(本体価格)

 忘れられない国会質疑の光景といえば、かつてハマコーこと自民党の浜田幸一氏が共産党の宮本顕治委員長を攻撃して「ミヤモトケンジ君は過去に人を殺した」を連呼したのはいいが(よくないか)、それが途中から興奮して「ミヤザワケンジ君は人を殺した」になってしまい「え? 『注文の多い料理店』で登場人物が喰われそうになるのはリアルな話だったの?」と勘違いに…こそならねど、「プロ野球珍プレー好プレー」で中日の宇野選手の顔面にフライが直撃するのと並ぶ昭和屈指の名場面だった。
 “朝日新聞、死ね”とツイッターへの投稿が話題騒然の著者だが、つい最近も加計学園の一件を「問題」としてしつこく追及しながら獣医師会から献金を受けていた希望の党の玉木代表や立憲民主党の福山幹事長、また例の“4条件”を設けた張本人である石破茂氏らをまとめて犯罪者呼ばわりするなど相変わらずの舌口調ぶりは見ていて痛快の極。
 しかし足立氏が連発しているのは決して賑やかし的な暴言放言の類ではない。
 野党各党の議員を個別具体的になで切り(それにしてもテロ等準備罪、いわゆる“共謀罪”法が成立したら海外への亡命を考えざるを得ないだのと公に口にしながら居座る某民進党参議院議員の厚顔愚劣さよ)なだけでなく、自公側の例えば小泉進次郎氏の持論「こども保険」もバッサリなのも、あくまでベースは政策の是非論である点が重要だ(公明党を指して「与党であることそのものが目的化」した「プロ与党」だとか、表現がとにかく冴えているのも強みだろう)。
 その昔社会党の楢崎弥之助氏が「国会の爆弾男」の異名をとったのとは別で、論議活性化のためにも著者のごとき名物男は貴重だと思う。
(居島一平/芸人)

【昇天の1冊】
 作家の林真理子さんとタレントの壇蜜さんとの対談集が『男と女の理不尽な愉しみ』(集英社/700円+税)だ。
 2人が何を討論しているかというと、男と女の関係について。しかもテーマは話題の「ゲス不倫」に「熟年離婚」…と、昨今の男女関係は何やら不穏な問題ばかりが目につき、やたらと世間の批判の対象になっていないか? という点を徹底して話し合っている。
 そして、その風潮ってちょっと違いませんか? と、本来はもっと大らかに男と女の関係を“愉しむ”べきものではないかと、問いかけてくる内容だ。
 確かに最近、男女の恋愛問題は何かと世知辛い。妻子ある男が外に女でもいようものなら、とたんに「ゲス」と、まるで犯罪者のようにバッシングを受ける。
 ところがひと昔前まで、「浮気は男の甲斐性」なんて言われていた。林さんと壇蜜さんも決してそうした旧い時代を肯定しているワケではないが、あまりに正義の味方ヅラして騒ぎ立てる社会に、違和感を隠しきれない。
 そもそも肉体関係を伴った男女の間柄そのものが、言いたい放題の男と言いなり女のように、一方的で理不尽なこともある。だが、そういう関係の中でこそ男も女も成長する“愉しみ”があったはず…と、女性同士がホンネを吐露し、フトコロの深い意見を交わす。
 読み終えると、男はしょせん女の手のひらの上で転がされている存在ではないか…。そのように感じてしまう1冊だ。
(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)

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