〈男と女の性犯罪実録調書〉③起訴された事件は1件のみ

官能・2020/06/04 00:00 / 掲載号 2020年6月11日号

 自宅近くの路上で車から降りた萌美さんは、自宅へ向かって歩いている途中で、住谷に声をかけられた。
「私はあなたの不倫相手の奥さんから調査を依頼された私立探偵だ。ちょっと話がある」

 ギョッとした萌美さんは住谷の顔を見つめた。
「あなた、ずっと不倫しているでしょう。不倫相手にも非があると思う。だけど、あなたの行動は奥さんの妻権を侵害しているんですよ。いずれ損害賠償を求められることになる」
「私、どうすればいいんですか?」
「その話し合いをしたいだけなんですよ」

 住谷は萌美さんを近くの駐車場の陰に連れて行き、自分とのディープキスやペッティングを求めた。壁に体を押さえつけて乳房や陰部を触っていたところ、偶然にも駐車場の契約者が車を止めに来たので、住谷は慌てて逃げ出すことになった。萌美さんはその場から110番通報した。

 それから1カ月後、中途半端な逃げ方をして、萌美さんを諦めきれなかった住谷は、その近くの路上で2時間以上も徘徊していた。
「必ずこの近くに彼女の家があるはずだ。もしかしたら近くを通りかかるかもしれない」

 だが、その様子を見て、近所の住民が「不審者がいる」と警察に通報。警察官が駆けつけ、任意同行を求めたところ、萌美さんに対する強制わいせつ事件を認めたため、緊急逮捕した。

 夫の犯行を知った妻は仰天。離婚も考えたが、子供への影響を考えて思い直し、住谷に代わって被害者と示談することになった。

 さらに余罪を取り調べ中、真理さんと麻子さんに対する事件も発覚。真理さんの事件は「自分から車に乗った行為が暴行脅迫要件の妨げになる」とされ、起訴されなかった。萌美さんの事件も「脅迫の根拠が曖昧」として、起訴は見送られ、麻子さんの事件だけが起訴されることになった。
「本当に申し訳ないことをした。妻にも被害者にも迷惑をかけた。被害者には、その日の行動から推測できる浮気の経緯をあれこれ並べ立て、あたかも何でも知っているように話しましたが、全部デタラメです。本当は何も知りません。浮気している女性なら、浮気していない女性より、自分との性交渉に応じてくれるのではないかと思った。手口については、何かを参考にしたわけではなく、自然に思いつきました」

 裁判所は住谷に懲役3年、執行猶予5年の判決を言い渡した。住谷はシャバに復帰したが、針のムシロのような生活を余儀なくされ、子供たちにも白い目で見られることになった。

 結局、住谷が麻子さんに支払った示談金は150万円。レイプの一発ほど高くつくものはないのである。
(文中の登場人物はすべて仮名です)

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