阪神 トラを襲った藤浪「コロナ陽性」と「鳥谷ロス」

スポーツ・2020/04/06 12:00 / 掲載号 2020年4月16日号
阪神 トラを襲った藤浪「コロナ陽性」と「鳥谷ロス」

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 新型コロナウイルス感染拡大の余波が、プロ野球界を飲み込もうとしている。

 阪神は3月26日、所属する藤浪晋太郎投手(25)が感染の有無を調べるPCR検査を受診した結果、“陽性”だったと発表。さらに、藤浪とともに会食していた選手2人、同席していた女性2人も感染したことが分かり、球団周辺はパニック状態に――。

「前日深夜から早朝に掛け、阪神の誰かが感染したらしいとの情報が駆け巡ったんです。午前中、鳴尾浜の二軍施設に行ったら、いきなり全身白づくめの作業員たちがクルマから降りてきて、薬品を撒き始めたんです」(在阪記者)

 グラウンド、ベンチ、控え室、記者室、食堂など、球団施設の至るところが作業員の放つ白い煙で充満し、あっと言う間に薬品臭に覆われたという。阪神は藤浪本人とも話し合い、感染防止の啓蒙の意味も込めて実名報道に踏み切ったという。同じく、陽性と判明した伊藤隼太、長坂拳弥についても同様だ。

 その裏には、陽性反応の出た藤浪たちが、他の4選手、知人ら数名と友人宅で食事をしていた。それも、オリックスとの練習試合後(14日)、「他球団は外出禁止令を出していたのに」など、“緊張感のなさ”も伝わっているからだ。

 藤浪らがコロナ感染と判明した当初、迅速な対応に一定の理解を示す声もあった。しかし、「実際は違う」と前出の在阪記者は言う。

「当然、検査前に阪神と試合をしたオリックス、中日、ソフトバンクも検査しなければなりません。伊藤は試合にも出ていましたし、プレー前に接触した選手、通路ですれ違った選手も感染のリスクを負っています」

 12球団で「目指す」と言っていた4月24日の開幕戦は、これで絶望視されだした。この罪は、重いと言わざるを得ない。

「今年の阪神は運がないというか…」(同)

 これは、藤浪の感染が判明する前の話。阪神選手、スタッフは判で押したように、こんなことを漏らしていた。

「どこに行っても、聞かれるのは、藤浪とトリさん(鳥谷敬=38)のことばかり」だと――。

「鳥谷が引退セレモニーを拒否し、現役続行に固執した昨秋から『ずっと』ですよ。近本光司が盗塁王と新人王を獲り、梅野隆太郎が捕手としてチーム45年ぶりのゴールデングラブ賞を獲得しても、鳥谷と藤浪には敵わないということ。藤浪の復活と、鳥谷がロッテでどうなるかが一番の関心事なんです」(球界関係者)

 感染騒ぎの直前でも、“鳥谷ロス”はあった。

「千葉ロッテは早くも『カモメの鳥谷グッズ』を販売させています。関西方面でも売れ行きは上々のようです」(ベテラン記者)

 近年、阪神の選手グッズの売り上げナンバー1は、鳥谷だった。圧倒的多くの虎ファンが「どこに行っても鳥谷を応援する」「オレたちの鳥谷」と思っており、ロッテも「阪神ファンのお買い上げ」を狙った感がしないでもない。
「鳥谷の新天地として、早い時期からロッテが囁かれていました。その影響もあってか、5月26日から予定されていた対ロッテの交流戦チケットは完売です」(前出・在阪記者)

 阪神に限った話ではないが、開幕の再延期により、人気球団はチケットの払い戻しに追われている。甲子園の前売りチケットは大半が売れているが、今後、客同士が「3メートル以上離れて座って」という、コロナ対策連絡会議で専門家チームによる興行アドバイスを受け入れた場合、大損となる。

「鳥谷のロッテ入りが決まり、阪神選手やスタッフは『エールをお願いします』と取材時に頼まれることが多いんです。『またか!?』という顔を返してきた関係者もいました」(同)

 グッズ人気のナンバー1が去ったのだから、阪神はチケット収入ともども大ダメージだ。

「感染者を出してしまった以上、練習施設も使えない状況です(3月30日現在)。一部の虎ナインから『他球団の施設を利用できるよう、手配してほしい』との相談もありました。相談された側の球団はどう思うか…。失礼な話ですが、他選手が感染している可能性もなくはないため、阪神は全選手、関係者が検査を受けなければ、受け入れてもらえないでしょう」(同)

 矢野燿大監督(51)は練習不足の選手たちを指揮していかなければならない。

「今季は、シーズン途中のトレードはタブーとなるでしょう。当該選手はもちろん、家族のいる選手は生活環境が大きく変わるので、意識してトレードの話はしないようにしています」(前出・ベテラン記者)

 消毒が完了すれば練習施設はどうにかなるが、忘れてはならないことがある。藤浪たちもコロナ禍に見舞われた被害者でもあるということだ。しかし、球団から彼らをかばう言葉はまだ聞こえてこない。

 新天地に馴染みつつある鳥谷は、慌てふためく古巣をどう見ているのだろうか。

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