葉加瀬マイ 2018年11月29日号

本好きリビドー(147)

掲載日時 2017年03月25日 16時00分 [エンタメ] / 掲載号 2017年3月30日号

◎快楽の1冊
『ブルマーの謎 〈女子の身体〉と戦後日本』 山本雄二 青弓社 2000円(本体価格)

 どうやら最近の若者にはピンとこないらしいが、中高年世代が学校に通っていた時代には、女子生徒はごく当たり前に「ブルマー」を着用していた。著者はこのブルマー(ちょうちんタイプではなく、お尻の形があらわになる密着型)が学校現場で普及してから消滅するまでの約30年間を調査、聞き取りをし、その隠された謎の真相に迫っている。
 昭和の校則を思い出してほしい。男子は髪が耳にかかってはダメ、女子は肩にかかるような長い髪は注意を受け、制服のスカートは膝よりも下が基本。異性を意識する格好や行動は即、「不純異性交遊」を疑われた。それなのになぜ、身体のラインがくっきりと分かる、今思い出しても「エロ」を感じさせる密着型ブルマーは認められていたのか?
 社会学の教授である著者の研究は地道かつ丁寧で、過ぎ去った時間に埋もれた事実を少しずつ露わにしていく。1964年の東京オリンピックで見た外国人選手のブルマー姿に憧れた説、伸縮性の新素材を繊維業界が学校現場に売り込んだ説等、諸説入り乱れる中、著者はとうとうある結論にたどり着く。まさに執念で犯人を追い詰めていくベテラン刑事のようなフィールドワークは圧巻の一言。研究対象がブルマーだけに、実際には変態扱いされたこともあったと言うが、本人はいたって真面目なのである。
 90年代の「ブルセラ」ブーム時に席巻した「ブルマー=女子高生」という記号は、今となってはしっくりこないのは時代の変貌ともいえるが、ブームの衰退とともに学校現場からもブルマーが消えたことに果たして関係性はあるのか? その真相はぜひとも、本書を読んで確認してほしい。
 ちなみに、今では完全消滅したブルマーだが、ラブホのコスプレ衣装ではまだまだ人気というのだから、何ともその奥深さを感じずにはいられない…。
(小倉圭壱/書評家)

 紹介が遅くなってしまったが、昨年11月末に発売された徳間書店刊のムックを、今回は取り上げたい。タイトルはずばり、『蘇る!日活ロマンポルノ』(1300円/税込)。
 1971〜'88年までに公開された約1100本の作品の完全アーカイブである。
 第1作主演の白川和子やSMの女王・谷ナオミに始まり、田中真里、宮下順子、原悦子、東てる美まで、往年のトップスターの濡れ場がてんこ盛り。うれしいことに風祭ゆきのインタビューも掲載されている。妖艶で知的な美しさは、今も変わらないようだ。
 その他にも、美保純、石田えり、五月みどり、高橋ひとみ、奈美悦子など、現在もテレビで活躍中の女優たちの顔も見える。
 作品の題名に使われた言葉が、またノスタルジーをソソる。パッと羅列するだけでも「団地妻」「四畳半」「桃尻娘」「ピンクのカーテン」「軽井沢夫人」等々の文言が並ぶ。
 どの言葉も今やエロスの決まり文句といえるが、出発点はロマンポルノであったことを改めて思い知らされる。
 ロマンポルノはAVとは違い、まず主演の女性が演技の上手な真の“女優”であったこと。そして、一挙3本立ての上映システムだったため、量産体制を敷くことで女優が育っていったこと。一般映画の約4分の1の制作費だったことから、監督やスタッフが知恵を絞りあったことなど、当時の舞台裏も語られる。
 古きよき時代のエロスを回顧できる良質な1冊だ。
(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)

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