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世の中おかしな事だらけ 三橋貴明の『マスコミに騙されるな!』 第39回 「実質的な国の借金」が減っているという驚愕の真実

掲載日時 2013年08月17日 15時00分 [政治] / 掲載号 2013年8月22・29日号

 消費税増税に関する情報が、予想通り混乱を始めた。
 マスコミは、以前は来年4月の消費税増税が「決まったこと」のように報じていたが、参議院選挙が終わった途端に「消費税に関する判断」という言葉が、テレビや新聞にやたら登場するようになった。元々、来年4月に消費税を8%に上げるか否かは「今年の秋に判断する」という法律になっている以上、当たり前なのだが。

 増税派は消費税増税の理由を次々に「製造」してくるわけだが(結果、理由がコロコロ変わる)、最もメジャーなものは「国の借金」問題だ。
 本連載では、連載初期から「国の借金」という財務省のプロパガンダ用語(正しくは「政府の負債」)の真相を暴いてきたが、さらに一つ「驚愕の真実」をお知らせしよう。実は、現在の日本は、実質的な「国の借金」が減り続けているのである。

 まずは、基本的な事実を復習したいのだが、日本銀行は日本政府の子会社である。これは、別に概念的な話をしているのではなく、日本銀行は本当に東証に上場している株式会社なのだ(株価は5万5000円ほど)。
 とはいえ、当たり前だが日本銀行の株式の55%は日本政府が持っている。すなわち、日本政府は日本銀行の親会社に該当する。
 そして、親会社と子会社との間のおカネの貸し借りは、連結決済で相殺されてしまうのだ。「自分が自分にカネを貸した」という話になってしまうのである。

 日本政府が国債を日本銀行に買い取らせると(これが量的緩和)、政府側は借金の返済負担も利払い負担もなくなる。別に、返済、利払いをしても構わないが、しなくてもいい。
 一応、日本政府は日本銀行に国債の利払いをしているが、日銀の決算が終わると「国庫納付金」として戻ってきている。
 国債の金利が政府から日本銀行に「行って、帰って」を、毎年繰り返しているのだ。

 IMF(国際通貨基金)は、中央銀行が保有する国債について、
 「この指数は各国にゼロから100の点数を付ける。点数が高いほど、投資家による突然のボイコットに見舞われやすいことを意味する。自国の中央銀行が国債の100%を保有している国の点数はゼロ」(2012年12月7日 ブルームバーグ「借金漬けでも日米は大丈夫 ギリシャが駄目な理由はこれ」より)
 としている。すなわち、中央銀行の国債のデフォルト(債務不履行)率はゼロなのだ。
 中央銀行が政府の子会社である以上、当然の話である。
 というわけで、政府は「自国通貨建て国債」を中央銀行に購入させると、借金の返済負担(利払い負担も)がなくなってしまう。「ずるい!」などと思わないで欲しい。国家とは、そもそもそういうものだ。

 さて、2012年9月末時点の日本国債の発行残高は、総額で781.1兆円だった(日銀「資金循環統計(確報値)」、以下同)。
 3カ月後、2012年末時点の国債発行残高は、総額で783.3兆円。わずか3カ月間で、財務省のいう「国の借金」は2兆円も増えたのだ。
 「大変だっ! また借金が増えたっ!」と、言いたいところだが、前記の国債発行残高の総額には、日本政府の「子会社」である日本銀行が保有する分も含まれている。
 '12年9月末時点の日銀が保有する国債残高は約83.7兆円。3カ月後の12月末時点が90.9兆円。政府の「実質的に返済が必要な借金」を見る場合は、子会社である日本銀行が保有する国債は省かなければならない。

 日本政府の返済が必要な「国の借金」、すなわち「実質的な国の借金」で見ると、日本政府の国債発行残高は'12年9月末から3カ月間で、約5兆円も減っている。
 昨年9月から12月といえば、白川日銀の時代になる。
 ろくに金融政策を実施しなかった'12年の後半ですら、日銀の国債買取のおかげで「実質的な国の借金」は減少していたのである。今年からは金融政策が拡大したため、「実質的な国の借金」はさらに減っていることだろう。
 二つの図(本誌参照)を比較すると、日銀の量的緩和が主に「国内の銀行から国債を買い取る」形で実施されていることがわかるだろう(国内銀行の保有国債が減っている)。

 声を大にして、かつ繰り返し言いたいわけだが、現在の日本に「国の借金の問題」など存在しない。いまだに「日本は国の借金で破綻する!」などと言っている連中は、日本の「実質的な国の借金」が減少している現実を、いかに説明するのだろうか。

三橋貴明(経済評論家・作家)
1969年、熊本県生まれ。外資系企業を経て、中小企業診断士として独立。現在、気鋭の経済評論家として、わかりやすい経済評論が人気を集めている。

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