実は乗馬もバイクも危ない! 患者急上昇中の「前立腺がん」を食い止める(1)

健康・2014/05/28 12:00 / 掲載号 2014年6月5日号

 『失楽園』『愛の流刑地』などの作品で知られる直木賞作家、渡辺淳一さんが4月30日夜、前立腺がんのため亡くなった。享年80。
 渡辺さんは5〜6年前から糖尿病を患い、精密検査を受けた結果、前立腺がんが判明。手術を受けず投薬治療などを受けながら執筆を続けていたが、昨年暮れに体調が悪化。治療に専念していた。

 実は今、前立腺がんの罹患者が急増しているというショッキングなデータがある。厚生労働省によると、1975年に2000人程度だった患者が'06年には4万2000人に激増。20年後(2026年)頃には、8万人以上の死亡者が出ると予測されているのだ。
 現在はがん患者において、肺、胃、肝臓の他、膵臓、食道、直腸などに次ぐ第8位にランクされているが、医療関係者によれば「おそらく5、6年先には、肺がんに次ぐ第2位に躍りでる可能性がある」という。

 医学博士の内浦尚之氏が説明する。
 「前立腺がんは、がんの中では進行性が遅く生存率・治癒率は高いとされ、また予後も他のがんと比べても良いといわれます。しかし、45歳以下での罹患率は、家族性以外はまれですが、50歳以降になると発症率がグンと上がり、その割合は年を追うごとに増加する傾向にあります。前立腺は、膀胱と尿道に接している器官です。尿道の根元にがんができた場合はオシッコが出にくくなったり、夜中に4、5回トイレに行くといった症状がみられますが、膀胱の奥にできると自覚症状がなく知らないうちに進行する。怖いのは腰の骨や脊髄に転移するケースで、腰痛などで医者にかかり、初めてがんの転移が見つかることが少なくないのです」

 「前立腺」は、男性のみに存在する生殖器。膀胱の真下にあり、尿道を取り囲むような形で存在し、大きさはクルミほど。男性ホルモンがなければ十分な働きができず、成長するにも男性ホルモンが必要だ。従って前立腺がんや前立腺肥大症などは、男性ホルモンに影響され、症状が進行することがわかっている。
 前立腺肥大症は、前立腺がんと症状が似ている点があるため「肥大症からがんに進行する」と考える人が多い。しかし、実際は発症部位もメカニズムも異なるため、その心配はないとされる。
 「前立腺肥大症は、膀胱の下にある前立腺が肥大すると尿道を圧迫し、排尿障害を起こす病気で“男の更年期障害”とも呼ばれます。要因は食生活の向上とともに、食質が欧米化したことが考えられ、80歳までに日本人男性の8割が前立腺肥大症に掛かるといわれています」(専門医)

 症状としては、「尿をした後、まだ残っている感じがする(残尿感)」「尿の勢いがなくなる」「排尿に時間がかかり尿も完全に出きらない」「お腹に力を入れないと排尿できない(いきみがある)」「急に尿をしたくなり漏れそうで我慢できない(尿意切迫感)」などが挙げられる。いずれにしても、症状がひどくなると膀胱が常に尿で一杯なので、少しお腹に力を入れただけで尿漏れが起きてしまう「溢流性尿失禁」になる。

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