菜乃花 2018年10月04日号

再上場『スシロー』にも不安材料 国内頭打ち 回転寿司業界の混沌

掲載日時 2017年03月18日 14時00分 [社会] / 掲載号 2017年3月23日号

 '09年4月1日付で一度は上場廃止していた、回転寿司業界の最大手の『あきんどスシロー』(以下・スシロー)の持ち株会社、スシローグローバルHDが、3月30日付で再上場するという。しかし、「すでに国内市場は頭打ち」(経営アナリスト)との見方もある同業界。果たして、明るい未来は待っているのか。
 まず、業界関係者が『スシロー』の動きをこう分析する。
 「『スシロー』は東証二部上場廃止前、外食企業や内外の投資ファンドの激しい買収攻勢にさらされたのです。現在も持ち株会社の9割以上の株式が海外投資ファンドですが、売上高や利益が堅調なため、再上場により高値で売り抜け、投資資金の回収という動き。それだけまだ伸びシロはあるという見立てです」

 確かに回転寿司業界の市場規模は、'15年で約5800億円、'16年は6000億円を突破するなど、10年前より1.5倍と順調に増えている。では、実際に各店の景気がいいのかといえば、むしろ混沌としているという。
 「大手の場合は多くの魚介類を海外輸入に頼るため、為替リスクを常に抱えている。加えて最近では、大型漁船でなりふり構わず漁をする韓国や台湾、中国に獲り負けているという厳しい状況があるのです」(業界関係者)

 安価な回転寿司と言っても、ネタは新鮮で美味いものが求められる。国内で調達できなければ当然、海外の上ネタ仕入れに頼らざるをえなくなる。
 「そんな中、円安の影響をもろに受けたのは、カッパ・クリエイト運営の『かっぱ寿司』と言われています。かつては業界トップだったのが、今は4位。'12年から赤字を計上し続け、'14年には外食大手のコロワイドに買収された。カッパ・クリエイトの'17年3月期の見通しも、9億3400万円の営業赤字。原因については、他の大手と比較して海外食材の依存度が高い点が指摘されています」(同)
 その海外依存度と円安の荒波を潜り抜けるため、業界大手は店舗拡大で売り上げ増を目指しているのが現状だ。

 しかし、業界内が混沌とする理由の二つめに、国内店舗展開の限界がある。
 売上高で回転寿司3強と言えば、1位『スシロー』、2位が『くら寿司』(くらコーポレーション)、3位が『はま寿司』。店舗数を見れば、2月現在で『スシロー』=455、『くら寿司』=391、『はま寿司』=458と競り合い、『スシロー』は再上場後、さらに店舗拡大をはかるという。
 「空白区だった四国や九州、沖縄なども次々に新店舗がオープンし、国内市場は飽和状態。地方では過疎化、さらに少子化も重なり、出店による事業拡大というビジネスモデルでは、遅かれ早かれ限界が来ると見られているのです」(同)

 国内が限界ならばと、大手は海外市場に活路を求める。
 「すでに『スシロー』や『かっぱ寿司』は韓国、『くら寿司』がアメリカや台湾、『はま寿司』も台湾、上海に出店している。しかし、例えば韓国でも独自の回転寿司があり、そことの競合で苦しんでいる。ある大手チェーンなどは、それにより大量出店計画を見直しています」(業界関係者)

 しかも日本市場に話を戻せば、地方の地元土着の回転寿司店との競り合いが待っている。
 「漁船を持つ船会社運営の回転寿司屋も多い。北陸、特に全国一の寿司の本場と称される石川県金沢では、『金沢まいもん寿司』など地元の回転寿司グループが幅を利かせ、全国チェーンの『すしざんまい』が出店3年目で撤退を余儀なくされたほど。北海道では『根室花まる』なども大人気ですからね」(同)

 さらに残された問題が、原価率の高さとサイドメニュー戦争だ。
 「ファミレスほか飲食業の原価率は高くても30%なら、回転寿司業界は50%前後。しかも、舌が肥えたお客さんに原価率を落としてネタを出せば、瞬時に売り上げが落ちる怖い業界ですからね。そんな中、『くら寿司』などは邪道と非難されながらもラーメンを販売し、今や豚丼、カレー、うな丼と、サイドメニューを増やし続けた。当初の業界批判をよそに、同社の売り上げは右肩上がりになったのです」(経営コンサルタント)

 この好調さを、他店が黙って見ているはずもない。
 「ポテトや酢飯にカレーのしゃりカレー、茶わん蒸しと、豊富なサイドメニューのオンパレード。そのため、寿司を食べずラーメンやコーヒーを飲むだけの客もいて、女子高生がポテトとお茶で長時間お喋りにふける光景も当たり前。どの大手もファミレス化し、それが売り上げの大きな比重を占めつつあります」(同)

 何でもありとなった回転寿司業界。しかし、飲食業界において垣根なしの競争に勝ち抜かなければ、未来はないということか。

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