森咲智美 2018年11月22日号

売りが売りを呼ぶ負の連鎖 東電株大暴落が招く市場5月パニック(1)

掲載日時 2011年05月19日 11時00分 [社会] / 掲載号 2011年5月26日号

 福島第一原発事故を機に暴落の一途をたどる東京電力の株価が、市場の新たな重しになってきた。証券会社が集中する東京・兜町では、市場をメルトダウンの火ダルマ地獄に追い込みかねない“5月危機”の到来を危惧する声さえ囁かれ始めている。

 上場企業の約7割を占める3月決算会社は、ゴールデンウイークの前後に2011年3月期の連結決算を発表する。その際、保有株の時価が簿価から5割超下落し回復の見込みがないと判断した場合、簿価と時価との差額を損失として計上する必要がある。減損処理と呼ばれる会計手法で、東電株を保有する企業はその分だけ利益が落ち込み、下手すると赤字幅が一気に拡大するのだ。
 「ただでさえ大震災の影響を被って悲鳴を上げている企業が多いなか、有価証券の評価損が大きければ大きいほど、投資家の目には『この会社はそんなにボロ会社なのか』と映って敬遠する。5月の連休明けに決算発表が相次げば、東電株を保有している会社が軒並み敬遠されかねず、市場は売りが売りを呼ぶ“負の連鎖”に陥ります。詳しい説明があればともかく、大半の人は東電株を減損処理したからとは思ってくれません。だから5月危機が現実味を増してくるのです」(市場関係者)

 実際、東電の大株主が被る損失額はハンパではない。約5500万株を保有し、事実上の筆頭株主(約4%)である第一生命は、連休直前の4月25日、3月決算で総額1796億円に及ぶ有価証券評価損を計上すると発表。このうち約1000億円が東電株の減損処理に伴うものだった。結果、同社は当初500億円と見込んでいた3月期の最終利益を190億円に下方修正し、予想されたこととはいえ市場には激震が走った。
 第一生命がケタ外れな損失を計上するのも無理はない。大震災に見舞われた前日(3月10日)の東電株は終値ベースで2155円。それが決算期末の3月31日には466円と、実に8割も落ち込んだ。株価暴落は新年度に入っても止まらず、額面割れの倒産価格に向けて不気味なカウントダウンを続けているのが実情だ。
 非上場とはいえ、日本最大の機関投資家として知られる日本生命も5280万株(3.9%)を保有する実質第2位の大株主。まだ同社は減損処理額を公表していないが、第一生命の保有株との比較からいけば900億円超の損失処理を迫られた模様だ。
 意外にも4267万株を保有し、大株主の実質3位に名を連ねるのが東京都。大手シンクタンクの試算によると、血税からの減損処理額は726億円に達するが、「なぜ長期にわたって東電株を保有してきたのか」を含め、都知事選挙では争点にもならなかった。

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