葉加瀬マイ 2018年11月29日号

話題の1冊 著者インタビュー 齋藤孝 『誰からも「できる!」と思われる 大人の語彙力ノート』 SBクリエイティブ 1,300円(本体価格)

掲載日時 2018年01月28日 18時00分 [エンタメ] / 掲載号 2018年2月1日号

話題の1冊 著者インタビュー 齋藤孝 『誰からも「できる!」と思われる 大人の語彙力ノート』 SBクリエイティブ 1,300円(本体価格)

 ――昨年は『語彙力本』が大ブームになりましたね。語彙力の低い大人が増えた要因は何だと思いますか?

 齋藤 原因としてはさまざまなものがありますが、一つには、メールやSNSによるやり取りが増えたことがあるように思います。メールでの言葉遣いというのは、書き言葉と話し言葉が混ざった新しい文体の文章です。純粋な書き言葉と違って、話し言葉に近いような気安さもあります。SNSが広がると同時に、本来の書き言葉をベースとした「大人のきちんとした言葉遣い」が失われつつあるということが言えるのではないでしょうか。また、活字離れが進んでしまっていることもあるでしょうね。活字から離れ、友人同士のおしゃべりだけでなら、500語くらいですべての用が足りてしまいます。年々、国語力、日本語力は減っていると思います。

 ――語彙力の有無はどのような部分で判断できるのでしょうか?

 齋藤 この本で提唱しているのは「言い換え力」というものです。さまざまな場面に応じて“適切な言葉をセレクトできる”というのが、語彙力のある人の一つの例だと思います。人を褒める時にいつも「すごい」だけでは、「それしか言えないの?」と感じますが、状況に応じて「優れた腕前ですね」「抜群ですね」「群を抜いていますね」などと伝えられれば、自分の言いたいことのニュアンスもより確実に相手に伝わるでしょう。

 ――では、語彙力をアップさせるには具体的に、どうしたらいいのでしょうか?

 齋藤 素読も一つの方法です。素読とは、意味や内容を理解する前に、とりあえず声に出して本を読むことです。実は、これが語彙習得の一番の近道なのです。その言葉が含まれる文章ごと文脈の中で覚える方がよいでしょう。古典なども、意味を調べるのは面倒くさいと思われるかもしれませんが、平家物語のようなリズムのよい名文は、読むだけで興が乗ってきて、いつのまにか語彙が定着してくるのです。
 また、NGワードを決めるというのも方法です。例えば、「すごい」や「やばい」などと言った単語を禁止して、言い換えてみるのです。最初は難しいと思いますが「すごい」と言いそうになった時に“具体的に何がすごいのか”と自問してみてください。考えを整理しながら言語化していくことで、表現力、コメント力もついていきます。語彙とはその人の知的レベルを映し出す教養そのものです。ぜひ、常日頃からトレーニングして、身につけていただけたらと思います。
(聞き手/程原ケン)

齋藤孝(さいとう・たかし)
1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業後、同大大学院教育学研究科博士課程等を経て、明治大学文学部教授。NHK Eテレ『にほんごであそぼ』総合指導。

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