園都 2018年6月28日号

“インスタ映え”が追い風 スマホに押されるデジカメ業界の逆襲

掲載日時 2018年02月23日 14時00分 [社会] / 掲載号 2018年3月1日号

“インスタ映え”が追い風 スマホに押されるデジカメ業界の逆襲

 スマートフォンカメラに押されっぱなしだったデジカメが、インスタグラム(インスタ)や「インスタ映え」といった言葉の流行が強烈な追い風となって、復調の兆しを見せている。カメラ映像機器工業会(CIPA)が2018年2月1日に発表した国内メーカーの'17年の出荷台数は、前年比3.3%増の約2498万台で、7年ぶりに増加に転じているのだ。
 「最近まで、スマホのカメラもデジカメも、写り具合はほぼ同じでした。そのためデジカメは、スマホで十分という消費者心理に押されっぱなしだったのです。デジカメは2010年時点で国内では出荷台数が1億2146万台にまで伸びたが、スマホの攻勢により2419万台('16年)にまで落ち込んだ。しかし、ここへ来て、インスタブームで他の人よりもいい写真を撮ってアップしたいと、特に女性を中心に再びデジカメ人気に火がついたのです」

 インスタは今や、全世界で約2億人が利用し、日本でも2000万人を突破している。
 「芸能人もこぞってインスタにプライベート画像をアップし、昨年には『インスタ映え』が流行語大賞にも選ばれた。各メーカーは、この勢いが短くとも東京五輪までは続くと見て、商品開発にも熱が入っているのです」(カメラ雑誌記者)

 では、昨今のデジカメの性能とスマホカメラの違いは何か。そもそもスマホの煽りをもろに食らったのは、デジカメの中でも軽量のコンパクトデジカメ、いわゆるコンデジだった。
 「コンデジはレンズ交換ができませんし、機能が互角となると、やはり電話やネットとつながり、生活に浸透しているスマホのほうが利用する頻度は多くなる。完全にお株を奪われ、風前の灯火となったのです」(メーカー関係者)

 しかし、そこに一石を投じたのがミラーレスカメラだった。
 「インスタブームにより、できるだけ多くの高評価を得たい人が急増した。そうなると、スマホは暗さに弱い、ズームが困難、手振れ補正機能の効果がいまいちなど、弱点が目立ち始める。しかし、いい写真を撮りたいからといって本格的な一眼レフカメラに目を向ければ、レンズを含めると相当重くなり、高価で手が出しにくい。スマホの弱点をカバーし、一眼レフの壁を破ったちょうど中間に立つデジカメとして、ミラーレスカメラが登場したのです」(前出・記者)

 ミラーレスカメラは'08年にパナソニックが開発。その名の通りミラーを使用せず、ファインダーもないことから、一眼レフより軽量化が可能となった。加えて、スマホのカメラよりもはるかに暗さに強く、手振れ補正もバッチリ。
 「当初は一眼レフと比較すると、運動会などで動いている被写体に対しては弱かったが、最近では技術が格段に進歩したことで克服した。重量も、女性でも手軽に扱えるものが多く、価格は一眼レフより安い。瞬く間にインスタに凝る女性のハートを射止めたわけです」(カメラ販売店店員)

 CIPA統計によると、'17年の国内のデジタルカメラ市場に占めるミラーレスは、出荷台数で対前年比約29%増、出荷額では同約48%増と急増している。
 「草分けであるパナソニックは、今年新たにLUMIX DC-G9を発売。これは世界最速の0.04秒で自動ピント合わせができるという優れものです。もはやスポーツなどの動きの速いものにも完全に対応できる。完全に一眼レフユーザーとインスタグラムユーザーの両方を睨んだ商品となっている」(同)

 当然、一眼レフの雄として君臨してきたキヤノンもこの波に乗る。
 「昨年投入した『EOS M6』で、いよいよ本腰を入れ始め、ミラーレスのシェアで昨年、一昨年で首位のオリンパスに攻勢をかける。パナソニック、ソニー、ニコンも含め、ユーザー争奪戦は熾烈です」(同)

 ただ、コンデジ、一眼レフ市場が縮小する中、各社こぞってミラーレスカメラの新商品を発売しているが、前途はけしてバラ色だけではないようだ。
 写真共有サービスの米フリッカー(Flickr)によると、'17年の1年間で同社サービスに投稿された写真のうち、スマホで撮影されたものが全体の50%にのぼり、依然、スマホが強いことは明らか。しかもその割合は、一昨年より2ポイント上昇しており、下がっての50%ではない。ほかのデジカメ撮影は49%で、さらにその内訳は一眼レフが33%、ミラーレスはたった4%に留まっている。
 「これをまだ普及させる余地があると見るかどうかですが、スマホとデジカメの激しいカメラ技術戦争は当面、続くと見てよいでしょう」(前出・記者)

 性能の向上と安さの競い合いは、ユーザーにとってもありがたい。

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