菜乃花 2018年10月04日号

広島カープ25年ぶり優勝で消えた「黒田マネー」の行方

掲載日時 2017年01月21日 16時00分 [スポーツ] / 掲載号 2017年1月26日号

 広島東洋カープの選手総年俸が安すぎはしないか?

 25年ぶりのリーグ優勝を果たした広島の契約更改の大トリを飾ったのは、菊池涼介(26)だった。6000万円増の1億4500万円とほぼ倍増し、球団の日本人最高年俸となった。
 「'17年はチームリーダーとして勝利に貢献できるように」と語っていたが、これを12球団全体で見ると、「問題アリ」と言わざるを得ない。広島はリーグ優勝チームでありながら、NPB日本人選手の年俸ランキング40位内に1人も入っていない。安すぎるのだ。

 広島一の高給取りとなった菊池は、ソフトバンクの今宮健太と並ぶ41位(今宮はチーム内10位)。チーム2位の丸佳浩(1億4000万円)は45位。MVPの新井貴浩は“拾われた過去”があるとはいえ、1億1000万円で57位。今季34セーブを挙げたクローザーの中﨑翔太は8500万円に倍増したが、澤村拓一(巨人)の半分ほど(1億5000万円)。いかに活躍しはじめて2〜3年目の選手とはいえ、あんまりな金額ではないか。
 「広島は育成、生え抜きのチームです。FA移籍した選手は高額年俸が約束されますが、獲得した側のチームは、生え抜きの主力選手のメンツも同時に考え、途中加入の選手よりも安くならないように配慮します。その差が出たんでしょう」(あるベテラン選手)

 今でこそカープ女子の黄色い声援が飛び交うものの、広島には“ビンボー球団”のイメージがつきまとう。連結財務諸表に関する会計基準で支配的企業(親会社)を持たないためで、球団創成期の資金難を乗り切るため、「たる募金」を行った歴史もあるからだろう。
 「初代監督の故石本秀一氏が“迷言”を残しています。『監督の仕事とは何か、カネを集めることだ』と言ったとか」(球界関係者)

 しかし、実際は違う。かなり貯め込んでいたようだ。
 株式会社広島東洋カープは初優勝の'75年から数えて42年連続黒字なのだ。'15年12月期決算の貸借対照表によれば、総資産約83億円、負債総額約33億円、純資金50億円。通常、自己資本比率が50%を超えれば「優良企業」だが、カープは60%超え。「超」の付く優良企業と言っていいだろう。
 「親会社を持つ他球団は赤字補填の資金援助があります。カープは会計基準上、マツダの関連会社だから、親会社の補填を受けられません。だから、黒字であり続けなければならなかったとも言えます。とはいえ、黒字額は1億円程度だった年もありました」(同)

 '93年オフのFA導入以降は、川口和久、江藤智、金本知憲、大竹寛らの主力選手を流出させ、肝心のペナントレースでも長く低迷した苦しい時代もあった。
 「プロ野球球団の主な支出項目はチーム総年俸、スタッフの人件費、球場使用料、遠征などの交通宿泊費、飲食物とグッズの仕入れ・製造原価など。広島は年間売上金の16〜20%を翌年のチーム総年俸に充ててきました」(同)

 その「売上金16〜20%=翌年のチーム総年俸」(日本人選手)が健全経営の秘訣のようだが、今オフはそうではないらしい。
 広島は'15年の入場者収入が約54億円。グッズ収入は35億円。最終損益で見ると、約7億円の儲けが出た。'16年度分は明らかになっていないが、主催試合の入場者数は'15年の211万266人から、215万7331人と球団記録を更新しており、「グッズの売上も50億円を超えた」との声がもっぱらだ。最終損益で「'15年の約7億円を大きく上回る」ことが確実視されている。
 しかし、日本人選手の総年俸には反映されていない。'15年は20億円8780万円で、'16年は18億円9791万円。'17年はさらにダウンして、16億7190万円。優勝したチームなのに、だ。
 「年俸6億円の黒田が引退したからです」(担当記者)

 とはいえ、広島は優勝チーム。チーム総年俸が前年度売上金の16〜20%ならば、'15年は約150億円だったので'16年は最大30億円まで出せた計算になる。Vチームとして迎える今季は16億7190万円まで下がっており、黒田博樹がいなくなったとは言え、もっと出せたはず。前年度売上金に充てる「16〜20%」の割合が、ガクンと落ちたと見るべきであろう。
 「広島で年俸に不満を述べた選手は1人もいません。レギュラーの大半は生え抜きの叩き上げ。支配下選手の最低年俸(440万円)に近い額でスタートした選手ばかりなので、昇給は優勝の恩恵だと思っているようです。黒田のように他球団に出て活躍した選手は、特例と見るべきでしょう。他球団のような昇給幅に変えるには、黒田に帰還してもらうか、この先、広島がFA補強をするしかなさそうです」(前出・ベテラン記者)

 広島選手が「名を捨てて実を取る」となった場合、黒田の指導者帰還のラブコールが起きる。
 選手育成の巧さも、広島という球団の魅力ではある。球団は応援してもらったお礼とし、広島市に5億円を寄付した。その心意気はともかく、選手にもっと儲け分を還元してもいいのでは? 他球団に、付け入る隙とならなければいいが…。
(年俸はすべて推定)

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