葉加瀬マイ 2018年11月29日号

本好きリビドー(157)

掲載日時 2017年06月10日 18時00分 [エンタメ] / 掲載号 2017年6月15日号

◎快楽の1冊
『しくじり動物大集合』 新宅広二著/イシダコウ絵 永岡書店 980円(本体価格)

 「ウサギは寂しいと死んじゃうんだよ!」
 その昔、ドラマで酒井法子が涙目で叫んだセリフだが、本書によればウサギは正確には「ウンチを食べないと死んでしまう」らしい。
 連中はなにしろ腸が未発達なため、生きるのに必要な栄養分を一度で吸収できないのだとか。そこで最初は柔らかいブドウの房状の糞をひり出し、それを咀嚼し直すという。
 小学生からこのかた“いきものがかり”なぞと無縁な身ゆえ驚いた。
 してみれば、かつて作家の向田邦子が阿川弘之との対談で語っていた幻の珍味にして美味、あのひじきの二度食いをウサギは日常茶飯事的に楽しんでいることになるわけだ。
 ご存じない読者に説明すると、往時、一部の貧しい漁村などでは食糧に事欠く際に、いったん夕餉の膳に出たひじきを排便後により分けて取り集め、水にひたして改めて食べたそうで、経験者の証言では目を剥くような旨さだったというから分からない。
 余談はとにかく「イチゴジャムウミウシ」「スベスベマンジュウガニ」は名前の割に猛毒を持っていて、「バフンウニ(それにしてもあまりに酷なネーミング。誰が付けたのか)」は意に反して超極上とか、コラムの端々に至るまで面白過ぎる。
 動物行動学が専門で生態科学研究の最前線に立つ著者の手にかかれば、哺乳類、爬虫類はもちろん鳥類、魚類、両生類から節足(昆虫)・軟体(貝)・環形(ミミズ)など無脊椎動物に及ぶすべての生命体=当然ヒトも含めてが、ひと頃話題の書名を借りれば「へんないきもの」、いや動物の存在自体が変なことに気付く。
 笑いながら進化の謎に思いを馳せつつ、この本片手に、上野でも多摩でもZOO! いやGO!
(居島一平/芸人)

【昇天の1冊】
 この書評コーナーは「エロ」「女」をテーマとした書籍を取り上げることが多い。『ちつのトリセツ 劣化はとまる』(径書房/1400円+税)は助産婦の監修のもとに編集された。極めて真面目な医学書だから、エロジャンルの1冊として掲載するにはあたらないだろうが、それでも男性諸氏が知っておいて損はないと踏んであえて紹介したい。
 この本の骨子は女性器=膣は「衰える」こと、また劣化が若い女性の間に増えていること、正常な膣と衰えた膣とでは何が違うのか…等々、女性のカラダとココロを知る上で、とても大切な内容が網羅されているのだ。
 もっともこの劣化は日本に顕著で、欧米やインドでは膣のお手入れが女性の常識として定着しているらしい。その方法は「会陰マッサージ」。会陰は性器とアナルの間の部分で、エロワードでは「蟻の戸渡り」などといわれるが、ここを入念に揉みほぐしておくことで劣化防止となる。よく濡れて性交痛もなくなり、黒ズミや匂いも防げ、安産にもつながりやすい。
 つまり女性が自分の性器に自信を持てば、セックス旺盛となり、加えて日本を悩ます少子化にも役立つ。だから、膣ケアをしっかり行おうという内容なのだ。
 日本人が性やセックスに興味を失いつつあるという。特に若い世代は異性との交際を億劫がる。そうした時代にあって、「膣」というタブーのテーマに斬り込んだ意欲作といえよう。この機会にぜひ読んで、男性も勉強してみてはどうだろうか。
(小林明/編集プロダクション『ディラナダチ』代表)

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