彩川ひなの 2018年7月5日号

時短決裂後の刑事告訴で悲劇… ナンパとレイプ 境界線上の争い(3)

掲載日時 2017年07月03日 23時00分 [事件] / 掲載号 2017年7月6日号

 「バカにしないで! レイプしておいて10万円ですって? ふざけるのもいいかげんにして!」
 「それなら、いくらならいいんですか?」
 寺田の横にいた弁護士が口を挟む。
 「金銭の問題じゃないでしょう。でも、無理にでも値段を付けろと言うなら1000万円ね。それ以上、ビタ一文負けられないわ!」
 幸恵さんは勢いよく席を立ち、その場を後にした。怒りに震え、やっぱり告訴しようと思い立ち、後日、警察へ相談に行った。

 ところが、警察は話を聞いてくれるものの、なかなか告訴状を作成しようとしない。イライラして文句を言うと、警察官が驚くべきことを口にした。
 「結局、あなたはお金が欲しいんでしょう。先日、相手側の弁護士さんが来て、経緯を説明してくれたよ。『1000万円よこせ!』ってバッチリ録音されているんですよ。悪いけど、民事的な金銭問題は当事者同士でやってくれないかな」

 幸恵さんは、まるで自分が示談金狙いの美人局のように言われて愕然とした。彼女も弁護士に相談したが、その弁護士にも「このケースは難しい…」と言われた。
 「LINEに法外な金銭要求の痕跡が残ってしまっていますからね。それに警察は示談崩れの事件を嫌うんですよ。こうなったら、あなたの意思を抑圧してホテルに連れ込まれたことを立証するしかありません」

 弁護士は現場のラブホテルの防犯カメラから、寺田が幸恵さんのバッグを持ってホテルに入ってきた様子、エレベーターの中で彼女がバッグを取り返そうとしている様子、部屋まで担がれて入っていく様子などの動画を入手した。
 その件で当局と掛け合っていたところ、思わぬ神風が吹いた。何と幸恵さんと全く同じ手口でナンパされ、食事した後にホテルに連れ込まれたという別の被害者が現れたのだ。
 その被害者は被害直後に警察に駆け込んでおり、乳首などを舐められた際に付着した唾液や、膣内から検出された精液のDNAが寺田のものと一致した。

 結局、幸恵さんの事件も立件されることになり、寺田は2人の女性に対する強姦罪などで起訴された。
 寺田は過去にも同様の事件を起こし、示談で不起訴になった前歴が複数あることも明かされると、それまでの態度を改め、被害者に謝罪するとともに「慰謝料として100万円を支払う」と申し出た。

 結果的に寺田は有罪判決を言い渡されたが、強姦被害に遭った場合は、たとえ最終的に示談で済ませたいと考えている場合でも、すぐに警察に相談すべき。それが強姦か和姦かの判断基準にもなるからだ。ラブホテルに連れ込まれた場合は、なおさらである。
 ついでに言えば、こんな男に騙されないためには、ある程度の免疫が必要だろう。この世の汚らわしいものすべてを、親が排除できるわけではないのだ。
(文中の登場人物はすべて仮名です)

関連タグ:男と女の性犯罪実録調書

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