菜乃花 2018年10月04日号

話題の1冊 著者インタビュー 柴田大輔 『酒鬼薔薇聖斗と関東連合』 サイゾー 1,400円(本体価格)

掲載日時 2016年12月04日 16時00分 [エンタメ] / 掲載号 2016年12月8日号

 ――元最高幹部の1人として、柴田さんにとって『関東連合』とはどのような組織だったのでしょうか?

 柴田 “大人”になりきれない暴走族仲間の延長線上のグループで、決して組織といえる体をなしたものではありません。元最高幹部と称したのは、関東連合には世代ごとにリーダーがおり、私、柴田大輔が昭和54年世代のリーダーだったからです。現在は世の中で言われる準暴力団、いわゆる反グレ集団に変貌しており、私自身は暴走族関東連合の元リーダーではありましたが、準暴力団関東連合には関わりがありません。

 ――元少年A(酒鬼薔薇聖斗)が昨年上梓した『絶歌』(太田出版)を読んで書評を書こうと思った理由はなんですか?

 柴田 同時代的な事件でとても印象に残っていたからです。特に事件当時に酒鬼薔薇聖斗が描いた『懲役13年』という詩のような作文を読んで非常に衝撃というか、文章というものの恐ろしい力のようなものを感じたのを今でも覚えております。『絶歌』が出版された際にすぐに手に取って読み始めると、私の意識は次第に十数年前の事件当時にタイムスリップするような感覚に陥ってしまったのです。感想としては意外にも違和感なく読めたこと。そして、彼に比べて自分がだいぶ恵まれた環境にあったと感じたことです。一方、問題だと思ったのは、文学的表現とノンフィクションが混在した文章で、事件に関する彼自身の問題を『精神的奇形児』で片付けていることです。せめて彼がどのようにしてあのような事件を起こすに至ったかを自分自身に追求するべきです。彼にとって苦しみを伴う作業になるでしょうが、そこを説明せずには世の中や遺族の方々の納得は到底得られないでしょう。そういった肝心な部分を彼は文学的表現で逃げているように思いました。そこで私自身の体験と比較しながら『絶歌』の未完の部分、酒鬼薔薇聖斗の本質的な問題を追求する試みをしようと思ったのです。

 ――元少年Aと直接メールのやり取りをしていますが、どのような印象を持たれましたか?

 柴田 彼に対しては失礼な言い方になりますが、率直に不気味さはありましたね。メールのやり取りが途絶えてしまうのを恐れて、私なりに誠心誠意メールのやり取りをさせていただきましたが、何か人とメールをやり取りしているというよりも、人の形をかたどった線の中に、アニメーションやホラー映画などの映像や文字がうごめいているような、顔のない人ならざる人と対話しているような空虚さを感じました。
(聞き手/程原ケン)

柴田大輔(しばた だいすけ)
東京都杉並区出身の関東連合元リーダー。現在は、執筆活動を中心にしながらiOS、Androidのアプリゲーム『BlackFlower』『大激闘!不良の花道』(TOR株式会社)などを開発・運営している。

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