葉加瀬マイ 2018年11月29日号

スパコン助成金詐欺 東京地検特捜部が討ち入る安倍金脈の牙城

掲載日時 2017年12月21日 14時00分 [事件] / 掲載号 2017年12月28日号

 スーパーコンピューター、いわゆるスパコンの開発で世界から最も注目を集めている日本のベンチャー企業、PEZY Computing(以下、ペジー社)の社長・齊藤元章容疑者(49)が、12月5日、東京地検特捜部に詐欺容疑で逮捕された。スパコンの旗手の逮捕はIT業界に衝撃を与えるとともに、政官界を巻き込み安倍政権をも揺るがす大疑獄に発展するのではないかと、永田町を震撼させている。
 「もともと齊藤容疑者は、新潟大学医学部を卒業後、医療系の画像診断ソフトを開発していた。'97年に渡米して医療機器のベンチャーを立ち上げ、2011年に帰国。コンピューターの命令装置であるプロセッサー開発に特化したペジー社を立ち上げたのです。そこからわずか数年で、開発したスパコンが省エネ性能ランキングのGreen500で2位となり、世界から注目を集めた。今年(11月期)は、スパコン『Gyoukou(暁光)』が同ランキングで首位を獲得している。日本のIT技術の最先端を担う希望の星でもあるだけに、今回の逮捕は相当な衝撃だったのです」(経済誌記者)

 齊藤容疑者にかけられた容疑は、経産省が管轄する国立研究開発法人『新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)』から助成金約4億3000万円を騙し取った、詐欺の疑いだ。同社が今年度までの8年間でNEDOから受けた助成金の総額は、35億円あまり。今回の直接の容疑は'13年度に支給されたものについてだが、特捜部では他にも不正な受給がないか調べているという。
 「そもそも助成金は、新規性・革新性の高い実用開発事業について、上限を5億円として、費用の3分の2以内を補助するというもの。ペジー社は約7億7000万円を開発費として申告し、約5億円を受給したのですが、そのうちの“外注費”として提出した約4億3000万円分を水増しした疑いが持たれている。齊藤容疑者は複数の会社を運営しており、その不正受給分が、そうした会社の運営費に回っていたとの指摘もあるのです」(全国紙社会部記者)

 それだけでは一見、単なる詐欺事件にしか思えないが、ペジー社に絡む人物相関に注目すると、助成金の不正受給だけでは片づけられない闇と、特捜部が動いた理由が見えてくる。
 「問題点の入り口は、齊藤容疑者と、あの元TBSワシントン支局長の山口敬之氏とのつながりだ」
 とは、ある野党議員。

 山口氏といえば、安倍首相に最も近い記者とされ、TBSを退社してフリージャーナリストに転身後、昨年には安倍内閣の内幕本『総理』(幻冬舎)を出している。加えて現在は、性的暴行を受けたとして損害賠償を求めたフリージャーナリストの伊藤詩織さんと係争中でもある人物としても注目されている。
 「山口氏と齊藤容疑者の関係はかなり深いとされ、『週刊新潮』(6月15日号)でも、山口氏がTBSを退社後にペジー社の顧問の席を用意されていた可能性や、生活の拠点にしていた永田町のザ・キャピトルホテル東急の賃貸レジデンスの賃料約130万円が、齊藤容疑者によって提供されているとの疑惑が報じられている。これが事実であれば、国から騙し取った金が安倍氏御用記者の家賃に化けていた可能性もある」(同)

 そのため様々な憶測が飛び交っているのだが、齊藤容疑者・山口氏と安倍官邸の関係をさらに見ると、疑惑はさらに深まる。
 「安倍首相に近い山口氏が、官邸や経産省に口利きをしていなかったのか。経産省は今や、財務省を差し置き安倍政権を支える最重要省で、安倍首相を意のままに操っているのが、経産省出身の総理首席秘書官である今井尚哉氏。山口氏は、その今井氏ともツーカーの仲とされる。また齊藤容疑者も、内閣府の有識者会議『2030年展望と改革タスクフォース』委員を務めるなど、政権に近い立ち位置にある」(政治部記者)

 そうしたことから、野党各党は詐欺事件に官邸の影響があるのでは、として、一斉に調査に入ったという。
 「特捜の動きには最も神経を使っているNHKも、齊藤容疑者逮捕の情報は直前まで掴めていなかった。結果、齊藤容疑者を取り上げるため、長期にわたり取材し12月11日の放送予定だった『プロフェッショナル 仕事の流儀』も、急遽中止せざるを得なくなった。特捜側も、それだけ慎重に証拠固めを進めていたということです」(テレビ局関係者)

 捜査の陣頭指揮を執るのは、9月に就任したばかりの森本宏特捜部長。これまで福島県知事の汚職事件や、猪瀬直樹氏を都知事辞職に追い込んだ医療法人徳洲会グループの公職選挙法違反事件、さらに、村上ファンドのインサイダー取引事件などを手掛けてきた。
 「森本氏は特捜捜査を引っ張ってきた超エースで、'10年に発覚した大阪地検特捜検事の証拠改ざんから沈滞化していた地検特捜部を復活させるキーマン。それだけに今回は、満を持しての捜査であると同時に、詐欺事件では終わらせないと見られてる。つまり、そこには齊藤容疑者から経産省、さらには安倍首相へとつながる金脈が通じている可能性も孕んでおり、永田町も霞が関も、捜査の行方を固唾を飲んで見守っているのです」(前出・政治部記者)

 特捜部長就任時の会見で、「水面下に隠れ、見えない事件を見つけ出し、刑事責任を問う」とした森本氏。捜査の手はどこまで伸びるのか。

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