葉加瀬マイ 2018年11月29日号

話題の1冊 著者インタビュー 神田つばき 『ゲスママ』 コアマガジン 1,200円(本体価格)

掲載日時 2016年11月20日 18時00分 [エンタメ] / 掲載号 2016年11月24日号

 ――AV女優やSM雑誌ライターなどの経歴を持つ神田さんですが、昨今の『AV出演強要問題』についてどう思いますか?

 神田 初めは「えっ、そんなひどい話があるの?」という驚きが先に立ちました。私はドラマ物AVの脚本を書いているんですが、現場で会う女優さんたちはすごく大切にされていたからです。また、私自身は緊縛に憧れて、自らAVに出たので、出演を勧められるという状況も経験がなかったですね。被害の報告書を読んで、業界に対する不信と嫌悪の視線に驚きました。でもね、そういう厳しい表現が出てくるというのは、性のコンテンツによって傷ついた女性の心がそこにあるからだと、だんだん、感じるようになりました。

 ――自ら『性の社会』へと転身した時、2人のお子さんとの間でトラブルになることはありませんでしたか?

 神田 当時、12歳と8歳でしたが、最初は受け入れようとしてくれていました。「まだ子どもなのに?」と思われるかも知れませんが、子どもって、親がどんなことをしても受け入れようとします。自分が傷ついても、理解できなくても、親を好きでいたいんですね。私はそれに気づかないまま性を追求しようと爆走して…。『ゲスママ』に書いた通り、子どもたちも苦しんだり傷ついていった。それでも、親に「やめろ」とは言えないんです。長女が大きくなってから「昔、ママとお風呂に入った時に体に傷がいっぱいあったの。あれは好きでやったの、お金のためだったの?」と聞かれて、初めて子どもたちが心を痛めていたことを知りました。その時間は取り返しがつきませんけれど、せめてこの本に本当のことを全部書こうと思ったんです。読んだら母親みたいにはなるまい、と思って前に進んでくれたらいいなと思います。

 ――AV業界は長らく女性が『供給側』に回ってきました。今後、どのように構造変化していくと思いますか?

 神田 日本には春画以来の『性の文化』があるのに、消費側は男性、供給側で働くのは女性、とずっと固定してきました。そのひずみが『AV出演強要問題』となって噴出したのでしょう。最近見た、映画『怒り』のゲイのラブシーンが美しくて、生まれて初めて「私も男に生まれて男と抱き合いたい」なんてドキドキしました。心が丁寧に描かれていたから、安心して官能に酔えたのだと思います。女が「性は美しい」と思えるものをつくっていけるかどうか、それがAV業界存続の鍵を握っているような気がしますね。
(聞き手/程原ケン)

神田つばき(かんだ つばき)
1959年、東京生まれ。獨協大学仏語学科卒業。38歳で離婚、派遣社員として銀行に勤務。41歳からフリーライター、AV女優として活動。AVシナリオライターとして150本を超える脚本を手がける。

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