林ゆめ 2018年12月6日号

執念の捜査で追い詰めた犯人が最後まで認めなかった“わいせつ目的”(3)

掲載日時 2018年04月30日 23時00分 [官能] / 掲載号 2018年5月3日号

 矢吹は当時、被害者宅から約400メートル離れたアパートに住み、桃香さんのバイト先だった居酒屋から300メートルほど離れた不動産仲介会社に勤めていた。
 しかし、矢吹は事件の2カ月前、「長く付き合っていた彼女と結婚することになった」、「彼女のお父さんが経営している飲食店で働く」などと言って会社を退社。だが、その実態は実家とアパートを往復するような生活を送っていた。
 事件前日には実家からアパートに戻っていたことも判明。事件翌日にはアパートの管理会社に「引っ越すことになった」と連絡し、それから1週間後には実家に住民票を移していた。

 捜査員はあくまで元住民の1人として、矢吹のもとを訪れた。矢吹は「事件の2カ月前には会社を辞めて、実家に帰ってきていたので、事件とは無関係」と説明したが、捜査員の申し出を拒むことはできず、自分の口腔内細胞を提出した。
 それから2週間後、警察は色めき立った。ついに桃香さんの遺体から検出された犯人のDNAと一致する人物が見つかったからだ。警察は逮捕状を請求し、矢吹を殺人容疑で逮捕した。
 だが、矢吹は「彼女の家に行ったこともないし、会ったこともありません」と犯行を否認した。しかし、桃香さんのベッドから矢吹の血痕が見つかっていることを追及されると、「私がやりました。責任を取ります」と犯行を認めた。

 矢吹によると、事件当日にたまたま桃香さんを見掛けて尾行し、桃香さんが部屋に入ってから押し入り、部屋の中にあった扇風機のコードを使って首を絞めたということだった。
 「要するにわいせつ目的で侵入し、抵抗されたから殺したということか?」
 「それは違います。LINEを交換して友達になりたかっただけです」
 「ならば、なぜ乳首を舐めたんだ?」
 「生きているかどうか、確認するためです」

 さらに矢吹は自分が統合失調症であり、多重人格であると主張。検察は裁判所に矢吹の鑑定留置を申請した。その結果、精神科医らによって矢吹の主張は詐病であることが見破られた。
 それでも矢吹は「幻聴に駆られて犯行に及んだ」という主張を繰り返した。
 「知らない男の声が聞こえてきて、『彼女を殺さないと悪魔がうつる。押し倒さないと危ない、危ない。首だよ、首。コードを使えば…』と言われた。その男の『証拠を持って逃げろ!』という声に導かれ、部屋から物品を持ち出した。わいせつ目的ではない」

 裁判所はこれらの主張をすべて退け、「わいせつ目的以外で侵入したとは考えられず、被害者の無念は察するに余りある」と断罪し、求刑通り無期懲役を言い渡した。矢吹はこの判決を不服として、控訴中である。
(文中の登場人物はすべて仮名です)

関連タグ:男と女の性犯罪実録調書


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