紗綾 2019年8月1日号

〈企業・経済深層レポート〉 ドラッグストア業界で勃発したマツキヨとスギ薬局が火花を散らす“ココカラ争奪戦”

掲載日時 2019年07月10日 06時30分 [社会] / 掲載号 2019年7月18日号

〈企業・経済深層レポート〉 ドラッグストア業界で勃発したマツキヨとスギ薬局が火花を散らす“ココカラ争奪戦”
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 利便性が高まり、もはや日用品のすべてが揃っているドラッグストア(以下、DS)。そんなDS業界で地殻変動が起きている。

 6月に入り業界7位のココカラファイン(売上高4005億円)が、5位のマツモトキヨシHD(同5759億円)に資本業務提携、6位のスギHD(同4884億円)に経営統合を申し込まれ、“ココカラ争奪戦”が勃発していることが明らかになったからだ。

 マツモトキヨシHDとの資本業務提携、スギHDとの経営統合、ココカラがどちらを選択したとしても、8800億〜1兆円規模の売上高となり、現在、業界1位のツルハHD(同7824億円)、2位のウエルシアHD(同7791億円)を抑え、業界首位に躍り出ることになる。

 こうしたDS業界の急激な再編劇が生じる背景を、業界アナリストはこう解説する。
「DS市場はここ10年、急速に市場を拡大してきました。市場規模は2018年度で、前年度比6.2%増の約7兆3000億円。2000年と比較すると、2.7倍にまで拡大したのです。この急成長は、DSが利幅の厚い医薬品、化粧品でドーンと稼ぎ、これを元手に医療調剤も含め、消費者が必要な日用品をすべて揃えた『ワンストップ・ショッピング店』を標榜し、これまでスーパーやコンビニが主流だった日用品や食品で攻勢をかけて客を引き寄せた結果です。ただ、この急成長したことによってDS業界への新規参入が相次ぎ、業界内でサバイバル競争が起きたのです」

 業界内競争の煽りを受けた典型例に、マツモトキヨシがあるという。
「マツモトキヨシは、池袋、新宿など、首都圏の大きな駅前を中心に出店し、1995年に売上高1位に躍り出てその地位をキープしてきました。ところが、近年はツルハとウエルシアが積極的なM&Aを仕掛け、地場チェーンを次々に飲み込み急拡大。ついに1位の座を奪われてしまったのです」(同)

 業界のサバイバルの激しさを示す数字がある。日本チェーンドラッグストア協会の統計によれば、店舗数は’03年に1万4103店舗だったが、1918年は2万228店舗と約6200店舗も増加している。しかし、2003年から2010年にかけては1店舗の売上高の伸び率は年平均3.6%だったが、2011年以降は0.5%と大きく落ち込んでいる。つまり、市場規模は拡大しているが、一店舗あたりの売上高は鈍化しているのだ。

 このサバイバル競争が激しくなった結果、勃発したのが“ココカラ争奪戦”だという。
「これまでのツルハやウエルシアのようなM&Aは、大手ドラッグストアが、地方の地場企業を飲み込むことで売り上げを伸ばしてきました。例えば、ツルハは2017年に静岡の杏林堂、ウエルシアは2015年に京都の清水薬品を買収しています。しかし、その方法もついに限界が訪れました。それでも規模を拡大しないと業界では生き残れない。そこで、大手同士が手を取り合うタイミングにきているのです」(DS業界誌専門記者)

 そんな中、マツモトキヨシHDとスギHDは、なぜココカラに熱視線を送るのか。マツモトキヨシは前述のように首都圏に強いが、これに対しココカラが強いのは関西圏だ。
「マツモトキヨシは2年前まで常に業界トップ。それを今のイオン系列のツルハやウエルシアに明け渡した原因として、関西が手薄だったことが指摘されています。今後、それをカバーし、再び業界の頂点に立つには京阪神に300店舗近くを抱えるココカラは絶好の企業。しかも、マツモトキヨシに手薄な薬剤師を多く抱えるため調剤店舗を多数展開可能となる。ココカラにとっては、マツモトキヨシのプライベート・ブランド(以下、PB)が魅力的です」(同)

 マツモトキヨシのPBであるオーガニック化粧品「アルジェラン」、油性クリーム「ヒルメナイド」は売れ筋商品なだけに、店頭に置けるだけで集客に繋がるのだ。

 一方、スギ薬局とココカラの統合は、双方にとってどのようなメリットがあるのか。
「スギHDが運営するスギ薬局は、愛知県を中心とした郊外型店舗が多いだけに、やはり京阪神の大都市中心のココカラと経営統合することは大きなメリットがあります。さらにスギ薬局は、約1200店舗のうち800店舗以上が調剤薬局併設型の店舗で、ココカラは人手不足の薬剤師を多く抱えています。超高齢化社会をにらみ、健康維持や予防、さらには介護、終末期のケアまでを一貫して扱う体制を多くの店舗で構築したいというのは両社共通の認識です」(同)

 ココカラを中心とした再編話に他企業は戦々恐々としているが、最終的にココカラはどう決断するのか。

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